Chapter 32-14
ズパァン!!

硬いドラゴンの鱗や、硬さを持たない水を切り裂いた時とはまた違う、なんとも言えない手応えをアルムは感じた。壁は一瞬、2つに裂けた。だがしかし、8人がそれを見ている間に再び1つの壁に戻ろうとしていた。

セリス「やべぇ!早く通り抜けんぞ!!」

そう叫んで走り出したセリスを先頭に、8人は壁の向こう側へと駆けた。最後にアルムが通り抜けたちょうどその時、壁は完全に再生し元通りになっていた。

アリュード「…助かった…!」
レイシア「壁がまだ薄くて助かったわね…もう少し分厚かったら、アルムがぺしゃんこにされるところだったわ…」
アルム「レイシア…嫌なこと言わないでよ、ぞっとするじゃん…」

控えめな笑いが起こる。レイシアも「ふふっ、ごめんなさい」と笑っていた。

アンナ「とにもかくにも、変な壁も突破したことだし、一気に洞窟も突っ切るとしようかね!」
リズ「そうね、もうすぐ抜けられそうだし…頑張りましょ」
セイファー「モンスターがまだいるかもね、気をつけなきゃ…!」

8人はその後も注意深く、洞窟を進んでいった。屈強なモンスターもいくらか現れたが、8人で力を合わせ、全て撃破していった。


そして、ついに前方からオレンジ色の光が差した。8人は一斉に駆け出し、長く険しい洞窟から抜け出た。ところが―――

アルム「…寒っ…!」
レイシア「山の上だものね…仕方ないわ」

山のふもとでの、暑いほどの暖かさはどこへやら、洞窟を抜けた先は肌寒かった。雪こそ降ってはいないが、かなり標高が高いうえに陽も沈みかけていたので納得と言えば納得だ。しかし、8人はそこまで考えが至らなかった。

セリス「…おっ、あっちに小屋みたいなのがあるぞ?」
アリュード「本当に!?…どこ?」
セリス「ほら、あそこだ。見えないか?」
レイシア「…私もくっきりとは見えないけど…あれは祠じゃないかしら?」
レイズ「じゃあ、今日はそこで休ませてもらおうよ。8人も入れてくれるか分からないけど…」

レイズの提案に異を唱える者は1人もいなかった。8人は遠くに見える小屋…否、祠へと足を進めた。
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