Chapter 32-13
不自然に立ちはだかる、8人の行く手を阻む巨大な壁。何より驚くべきは、その触感であった。

レイシア「…硬そうに見えるけど、壁としては軟らかいわ…」

レイシアが指を押し込むと、わずかながら壁にめり込んだ。次いで力強く殴りつけるが、一度へこんだ後元に戻った。これは、この壁の硬度が一般に「壁」と呼ばれるそれより小さいことを表していた。

アンナ「…衝撃吸収壁ってとこかい…?」

アンナの呟きに、一同ははっと気付いた。そうだとすれば、この壁は単なる打撃では破壊できないことになる。となると、呪文で砕く他ないわけだが―――。

アルム「誰か…イオナズンとか使える?」
アリュード「…僕なんて、ギラやヒャドぐらいしか…」
レイシア「まだマシよ。私は攻撃呪文は何もできないわ」

レイシアが苦笑して答えた時、レイズが皆に話しかけた。

レイズ「あの…イオナズンはできないけど、バギクロスなら…」
アリュード「本当に!?」
リズ「…とりあえず、お願いできる?」
レイズ「わかった。みんな、下がってて」

レイズから離れる7人。するとしばらくして、レイズが風を巻き起こし始めた。それは巨大な竜巻へと変化していき、そして―――

レイズ「…バギクロス!!」

レイズの両手から放たれた竜巻は、洞窟内の塵や砂礫を巻き込みながら壁に向かっていく。
しかし、バギクロスでさえ、この壁を貫くには至らなかった。ある程度の溝を作り出したものの、それは形を変え、やがて元に戻ってしまった。

レイズ「…やっぱダメか…。ごめん」
セリス「お前は何も悪くないさ。謝るよりも、みんなで何か打開策を考えようぜ!」
セイファー「…でも、打撃も呪文もダメだったのに…どうするの?」
アルム「分からない…だけど、ぼくは諦めない…必ずいい方法があるはずなんだ!」

しばらく考え込むアルム。やがて、「そうだ!」と何か閃いたように叫んだ。

アルム「やってみる価値はあるかも…!」
一同「???」
アルム「打撃も呪文もダメなら、くっつけてみればいいかもしれないんだ…!」

アルムは精霊の剣を頭上に掲げた。すると、洞窟の中であるのにもかかわらず、どこからか雷が剣に落ちた。アルムは帯電した剣を構えて、そのまま力任せに壁に斬りかかった。残りの7人は、固唾をのんでアルムの動きを見守った。

アルム「いっ…けー!!!」
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