Chapter 32-12
レイシア「アルム!!」
アリュード「…そんな…!」
離れていた者たちも、次々と事態に気付いて叫ぶ。と、その集団の中からセリスが飛び出し、敵に囲まれた場所に倒れているアルムを助け出しに向かった。
レイシア「セリス!何してるの!?」
敵の動きを考えず突っ込んでいくセリスに、レイシアは叫んだ。スカルドンの吐いた炎が、セリスを飲み込もうとしているのだ。
しかし、セリスはその炎に包まれる寸前で姿を消した。そして、その数秒後には、レイシアの方へと戻ってきた。アルムを肩に担いで。
セリス「…何してるもくそもねーよ。俺はただ、自分より大事な仲間の方が大切だととっさに思っただけなんだろうな」
レイシア「…あなたって人は…!」
アンナ「よし、さっさと片付けて、アルムの手当てをしてやらなきゃいけないね!」
レイズ「そうだね!みんな、行こう!」
彼らは一斉に、スカルドンとギガンテスに群がった。そして、何人かがところどころに火傷や擦り傷を負いながらも、どうにか敵を倒した。アルムが意識を取り戻したのは、ちょうどそれと同じ頃だった。
セリス「ベホイミ…っと。どうだ?痛みはなくなったか?」
アルム「うん、助かったよ。ごめんね、ドジ踏んじゃって…」
ばつの悪そうな表情で、アルムはそう謝った。視界が悪かったとはいえ、その状況を作ったのは自分に違いないのだから。
セリス「お互い様さ。あの時2人が炎を止めてなかったら、俺たちも危なかったからな。回復呪文2、3回で命が救えんなら安いもんさ」
この中でホイミを使えるのは全員であるが、ベホイミを習得しているのはセリスとアンナだけであった。ベホマになると、ここに使い手はいない。セリス曰く、「もうちょっとでできる」らしいが。
ともあれ、戦闘、回復を終えた彼らは、その後も敵の目をできる限り避けつつ、入り組んだ洞窟を進んでいった。
そして、かなり上の方まで来た頃、8人は驚くべきものを見た。
アリュード「…なんだ、あれは!?」
アリュードがそう言った理由…それは、目の前にいる「あれ」にあった。そこには、あちらへの道を封じるかのように、洞窟の壁とは明らかに色が違う、整った形をした大きな壁のような障害物が存在していた。