Chapter 32-11
海上にも、モンスターは全く出現しなかった。そのため、彼らの予想よりさらに早い、翌日の昼にはアリアハンに着き、その翌日にはテドンに着いてしまった。

アリュード「モンスターが出ないのなら、山道もなんとかなりそうだね!」
レイシア「そうね、さくさく登ってっちゃいましょ!」

テドンで一服した後、8人はそんな軽い気分で、ネクロゴンドの山脈へと向かった。テドンから歩いて2時間ほどで、山のふもとに到着した。そして、山道と言いながらも、実際は洞窟を進んでいくと分かり、これはさほど苦にはならないだろうと、そう考えていた。


しかし―――それほど甘くはなかった。

アルム「…みんな、待って!」

アルムが小声で皆を呼び止める。そして剣を抜いて、前方を見据えた。

アルム「モンスターがいる…」
アンナ「ここに来て、ついにお出ましかい…!」
セリス「やっぱ、フリーパスってわけにはいかなかったらしいな…」

壁に隠れた場所から、突然モンスターが躍り出た。茶色い骨のドラゴンと、緑の体躯をした1つ目の巨人だ。

セイファー「スカルドンに…ギガンテス!」
レイズ「スカルドンのブレス攻撃には気をつけて!」

レイズの言葉に頷き、8人はばらばらに散る。全員が一度にブレス攻撃を受けないためだ。

アルム「いくぞっ!」

まずはアルムが、スカルドンに斬りつける。バキッという音が響き、スカルドンの骨が2、3本折れた。

リズ「…それっ!」

リズも同じように斬撃を加える。また2、3本の骨が砕けた。

アンナ「よっ!…と。そんな大振りじゃ、当たるもんも当たんないよ!」

アンナは持ち前のステップと俊敏さで、ギガンテスの隙の大きい攻撃を簡単にかわしていく。とその時、スカルドンがアルムとリズに向かって激しく燃える炎を吐き出してきた。

アルム・リズ「ヒャダルコ!!」

2人が全く同じタイミングで、同じ呪文を唱えた。2人分の冷気は、激しい炎を見事に相殺した。もうもうと水蒸気が立ちこめ、視界が一時的に悪くなった。

だから、アルムは気付かなかった。背後から、巨大な棍棒が振り下ろされていたことを。


ガンッ!!!


恐ろしく鈍い音が響く。皆はその音に敏感に反応し、音の正体を探る。水蒸気が晴れたとき、一番近くにいたリズの悲鳴があがった。

リズ「…きゃああっ!!」

彼女の目線の先には、頭から血を流して倒れたアルムの姿があった。
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