Chapter 32-9
ロディ「…親父はよそ者が嫌いなんだ。つーのも、その親父…まあ俺の祖父なんだが、祖父は親父を、よそ者に厳しく当たるように躾けたらしくてな。そのせいもあって、よそ者を快く思っちゃいないんだよ」

淡々と語るロディ。話は、いよいよ核心に近づいていく。

ロディ「で、俺が6歳ぐらいの時だ。こういう言い方をしちゃリズに悪いんだが…1人の男が、この村に流れ着いた。当然親父は最初、そいつを拒んだ。けど、親父が個人的に嫌ってた村の女とそいつがくっついて、親父は喜んだんだ。これで女が嫁いで、邪魔者が消えるってな…」

嫌悪感を露わにして言うロディ。アルムも、この言葉には怒りを覚えた。

アルム「邪魔者だなんて…!」
ロディ「ああ、ひどい話だ。もちろん俺も疑問に思ったさ。でも、如何せん年が幼すぎた。で、話が戻るけど、その男は放浪人、つまり宿無しだ。だから、この村に留まるって言った。そしたら親父が怒ったのなんの…顔も見たくないっつって、2人を村はずれの森小屋に追い出したんだ。それでも、2人は負けずに強く生きた。で、その子供がリズってわけだ」
レイズ「ずいぶんと複雑な事情があるんだね…」
ロディ「ああ。親父が嫌った2人の子供だ、当然良く思われる訳がない。加えてこの眼だ…俺には個性的に見えるんだが、連中には不気味にしか見えないらしいな…。こっから先は、俺には話せない…リズ本人から聞いてくれ。もちろん、詮索はしない方がいい。こいつは十分辛い思いをして生きてきたんだ、今更思い出させたくもないしな…悪い」

ロディは最後にそう詫びた。対してリズが「気にしないで」と笑って返した。

ロディ「…じゃ、俺はこれで。リズ…お前さっき、ここを住所だと思わないって言ったよな。けど…俺は待ってるぜ。お前は俺の妹みたいなもんなんだから」
リズ「…うん。ロディがそう言うなら、またいつか帰ってくるわ。私、諦めない心をみんなに教えてもらったから…」
ロディ「それを聞いて安心したよ。じゃあ、元気でな!」

ロディは宿から出て行き、闇夜へと消えていった。ちょうどその時、部屋の扉が開き、4人が出てきた。

セリス「なんだ、いたなら言ってくれよ」
アルム「ああ、ごめんね。レイシアは大丈夫なの?」
レイシア「…ふっかーつ!なんてね。さっ、行きましょ!」

レイシアの元気な声と身振りに、皆は心底安堵した。そして、村を出て、ネクロゴンドまでの道を辿り始めるのであった。
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