Chapter 32-7
話し合いの結果、リズの家にはアルム、アンナ、レイズが、宿屋にはそれ以外の者が行くことになった。割合、話はすんなりと進んだのだが、アルムとしてはどうしてもリズのことが心配だったので、うまく割り振られたといった感じだった。

リズ「私の家なんだけど…少し奥の方になるわ。森の中にあるの」
アンナ「そうなのかい…」
リズ「本当は、ずっと森の中にいたかったのよ。だけど…どうしても村に出てこなきゃいけない時だってあるもの。その時は…辛かったわ」

またしてもため息をつくリズ。もう何度目かも分からないほどだ。

レイズ「こんなこと、あんまり言いたくないんだけど…ここの人たちは、物を売ってくれたの?」
リズ「いいえ…だから買い出しはいつもロマリアまで行っていたわ。片目を隠して…」

躊躇いがちなレイズの問いに、リズは表情を変えずに返した。

リズ「…だけど、家に戻るにはどうしてもここを通らなきゃいけなくて。だから、大変だった。でも…みんながみんな、私を忌み嫌ってたわけじゃないの」
アルム「リズの味方もいたってこと…?」
リズ「そう…私の荷物を、一緒に運んでくれたり…あっ!」

小さくリズが声をあげる。彼女の視線の先には、1人の村人がいた。

*「…!」

村人は慌てふためき、村の中心の方へと駆けて行った。

リズ「…早く行った方がいいみたい」

リズは慌てて、森の方へと駆け出した。アルムたちも、その後について走った。後ろを気にしながら。


数分走り、やがて森の隙間にリズの家が見えてきた。リズは「埃っぽいけど」と、3人を家に招き入れた。

レイズ「さっきの人は…誰?」
リズ「私を嫌ってる人の1人。多分、村長にでも報告しに行ったんだと思うわ」
アンナ「…気に食わないもんだね。あんた、よく今まで耐えてきたね…」

リズと立場が同じわけではなかったが、アンナは少し彼女の気持ちが理解できた。

リズ「…とりあえず、こんなところだけどゆっくりしてね」

そのリズの言葉に甘え、3人は体を休めた。まだ真っ昼間といってもいい時間ではあったが、不思議と皆よく眠れた。


そして…夜。3人は「起きて…」とリズに揺り起こされた。
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