Chapter 32-6
レイシア「…いい思い出がない?」
リズ「そうなの…ほら、私の眼って変でしょ?周りの人から気味悪がられて…色々されたりしたの…」

自分の両眼を代わる代わる指差しながら、リズは嘆息した。

セリス「…そりゃ、ひどいもんだな…さぞ辛かったろうに」
アルム「だね…眼の色だってリズの個性なのに…」
アリュード「それじゃ…ノアニールには寄らないで別の町を探す?」
セイファー「それなら、ここからならロマリアが一番近いと思うよ!」
リズ「…待って!」

自分に気を遣って話を進める皆に、リズが声を張った。

リズ「気持ちは嬉しいんだけど…私のことは気にしないで。レイシアのことも心配だし、ノアニールで休みましょう」
レイシア「リズ、私は大丈夫よ。辛い思い出のある場所にわざわざ戻る必要はないわ…」
リズ「あなたは無理をしてるわ、疲れが顔に出てるもの。休むべきよ…それに、私は今になってやっと分かったの」

リズはまた、遠くに目を向けた。

リズ「私が教習所に来たのは、ただ辛い毎日から逃げ出したかっただけなのかもしれない…」
アルム「リズ…」
リズ「私、もう一度ちゃんと向き合ってみようと思うの。いつまでも逃げてちゃいけないって思うから…」

リズの眼は、ある方向に向いていた。その先に、ノアニールがあるのだろう。

アンナ「…そこまで言うんなら、行ってみようか?」
リズ「…ええ。何を言われても、大丈夫だから」
セリス「よし、行こう。もしリズを悪く言う奴がいたら、俺たちが許さねー!」

リズはもう一度「いい?」と確認をとり、皆が快諾すると「ありがとう」と言って歩き出した。その方向は、リズが目を向けていた方だった。

◇◇◇

レイズ「ここが…ノアニール…」
アルム「静かな村だね…」

その言葉通り、ノアニールは閑散としていた。ぱっと見た感じ、出歩いている村人が見当たらない。

リズ「…とりあえず、これだけの人数だから、この村の宿屋には全員入れないわ。嫌かもしれないけど…私の家に4人寝ることになるわ…」

リズの話では、これだけ辺境の宿屋なので部屋も1つしかなく、8人が寝るには無理があるという。そこで、4人が宿屋に、そして4人がリズの家に泊まることになった。
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