Chapter 32-3
一方その頃―――

セリス「おーい、こっから出しやがれー!!」
アリュード「いつまでこんなとこに入れとく気なのー!?」

牢の柵に手をかけ、セリスとアリュードは叫んだ。しかし、その声はただ部屋中に木霊するだけ。

アルム「2人とも…もう止めたら?」

すぐそばにいるアルムは、先ほどから叫び続けている2人を宥めるように言った。しかし2人は、同時にむっとした顔で振り向き、こちらを睨んだので、アルムは少したじろいだ。

セリス「お前、諦めようってんのか?」
アリュード「そうだよ、そんなの絶対だめだよ!」
アルム「違うよ。そういうことじゃない」

アルムは首を横に振って、その言葉を退けた。そして、いかにも頑丈そうな壁にもたれかかって、2人に言った。

アルム「ここがどこかも分からないし、出られるかも分からない。だけど、ぼくたちは今から戦いに行かなきゃならないんだ、無駄な体力を使うべきじゃないよ。助けを叫ぶより、どうやってここから抜け出すかを考えなきゃ」

こういうところでも、アルムは1年間教習所で学んだことを忘れていなかった。直接的には教わっていないが、窮地に陥った時も平静さを保てるようにはなっていた。

セリス「…そうだな、お前の言う通りだ」
アリュード「ごめん…うるさくして…」
アルム「いいよ、そんなの。さ、みんなと一緒に、どうやってここから出るか考えよう」

この中に、諦めている者は1人もいない。彼らは円形に座り、作戦を練り始めた。


…しかし、小一時間話し込んだものの、打開策は見つからない。早い話が、見回りすらも来ないのでは何も出来ないし、そもそもこの牢の鍵はすっかり錆び付いており、まるで使い物になりそうもない。鍵があったところで、どうやっても錠は開かなさそうだ。おそらく、ここは遠い昔に使われなくなった地下牢であろう。そうなると、ここには見回りどころか人一人も来ない。事実上の完全隔離室であった。

セイファー「…ダメだね。魔法系の力は制御されてるみたいだ。姿を消そうとしてもできないや」
リズ「…天使の力って魔法力だったの?」
レイズ「力が消されるからには、そうなのかもね。それか別々のものだとしても、両方とも防いじゃうのかも」
アンナ「うーん…あたいらもそうだけど、向こうが心配だね…」

そうやって良い案が出ないまま、しばらく座り込んでいた8人だったが、やがて1人、立ち上がった者がいた。
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