Chapter 1-9
ゼクトルの言葉を頭の中で噛み締めながら、アルムは浮かれ気分で部屋に戻った。すると、部屋にはまだタアとリズしかいなかった。魔術学や体術学の訓練は、どうやらまだ終わっていないようだ。

アルムはそのまま部屋に入り、椅子に腰掛ける。と、偶然リズと目が合った。

アルム(両目の色が…違う?)
アルムは驚きを隠せなかった。鮮血のように真っ赤な右目と、黄金色に光る左目。今までに出会った人は皆、両目の色は同じだった。

リズ「…変だ、って思ってるでしょ?」
アルム「え、あ、そんなこと」
リズ「いいの。気を遣わなくて」
リズは窓の外に目を向けた。その横顔がなんとも寂しげで、アルムは何も言えなかった。

リズ「私はずっと1人で生きてきたから…大丈夫、もう慣れたの」
微かに笑うリズ。しかし、その笑顔もまた、どこか悲しげだった。


とその時、部屋にユリスが入ってきた。先の呼び出しの理由が分からないアルムは「何だったの?」と聞いたが、ユリスは「何でもなかったわ」と答えたきり、口を開かなかった。

◇◇◇

セリス「あの先生はすげぇぞ、絶対勝てないって」
アルム「あのって、メリー先生のこと?」
レイシア「そう。私、見ててうっとりしちゃった、あの動きに…」

戻ってきたセリスたちが体術学の訓練の感想を述べる。聞けば、それはそれはすごいものだったそうで、訓練始めの模範で4人は度肝を抜かれたらしい。

アンナ「あの飛び上がってくるくる回る技、カッコ良かったよ。あたいも出来るようになりたいね」
ロエン「うん、でも何であの人あんなにすごいんだろ…?」
口々に感嘆の言葉を発する4人。どうやら、メリーが元は魔法使いだったということなど、これっぽっちも気付いていないようだった。

アルム「やっぱり先生ってすごいんだね…ぼく、びっくりしたよ」
ロエン「本当だよね!そう言えばアルム、君の方の訓練はどうだったの?」

アルムはこの後、自らが受けた訓練について詳細に話した。
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