Chapter 1-7
リズ「…やぁっ!!」

声を上げて斬りつける。が、刀身は岩を切ることなく、ガキッという鈍い音を立てて止まった。

ゼクトル「なかなか簡単には割れねえだろ?まあ、まだ時間はあるから、何回でもやってみろ。割れた奴から、今日の訓練は終わりだ」

アルム(リズの声、初めて聞いたような…じゃないじゃない!!)
ぶるぶると首を振り、アルムもユリスやリズと同じように、果敢に岩に挑み始めた。しかし、斬っても突いても岩は割れない。それだけでなく、やがて痺れによって両手の感覚が無くなってきた。

そんな中で、タアだけは何もしていなかった。懸命に岩に斬りかかっているアルムたちを横目に、ただ自らの岩を見ているだけ。

ゼクトル「どうした、時間がもったいないんじゃねえか?」

ゼクトルの問いかけに、タアはふん、と鼻を鳴らし、大剣を構えた。

タア「なめんなよ、こんぐらいの岩、簡単にぶった斬れんぜ…」
タアは神経を集中させる。すると、ぼんやりと大剣が光を帯び始めた。

ゼクトル(闘気か…もう使えんのか)

タア「…闘気剣!」
振り下ろされた大剣は、ほとんど抵抗なく岩を切り裂き、その下の地面に深々と食い込んだ。

ゼクトル「…やるじゃねえか、一発で割るなんて」
タア「けっ、次はもっとマシなことやらせろ、つまんねぇ」
吐き捨てるように言い残し、タアは大剣を担いで部屋へと戻っていった。アルムは呆気にとられてしばらく岩のことを忘れていたが、数分後、絶えず横から聞こえてくる金属音でそれを思い出した。

とその時、金属音に混じって、バカンという破壊音が聞こえた。それは、リズが岩を割った音だった。彼女の剣は静かな炎を纏っていた。

ゼクトル「合格。火炎斬りか、なかなかの使い手だな」
リズ「………」

リズは無言で、ゼクトルに軽く一礼して部屋へ戻っていった。残ったのは、アルムとユリス。
アルム(ぼくも、一か八かやってみよう)
アルムは剣を握り締め、目の前の岩に全神経を集中させた。
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