Chapter 21-15
セレイス「自己紹介が遅れました。僕はアレク=セレイス、ルプガナ教習所魔術学教師です」

手短に、まず自分の身分を明かすセレイス。それを聞いた途端、兵士の態度ががらりと変わった。

*「あっ…あなたがアレク=セレイスさんでいらっしゃいましたか…!申し訳ありません、数々の無礼なお言葉、失礼致しました!」

兵士は慌てて頭を下げる。しかし、それ以上に慌てたのはセレイス自身だった。

セレイス「ちょっ…ちょっとやめて下さいよ、恥ずかしいじゃないですか!」
*「いえ…申し訳ありません。それで…王にご用があるとお聞きしましたが…?」
セレイス「…はい、今世界中で様々な異変が起こっています。この状況で聞くのは野暮かもしれませんが…この国ではそうした異変が何か起こっていないか、そのお話を伺いに来たんです」
*「なるほど…そういうことでしたか。分かりました、王のおられる場所にご案内しましょう」

そう言って、兵士はセレイスたちを王のいる場所まで案内した。

◇◇◇

*「………うむ、では道中お気をつけて」
セレイス「はい、貴重なお時間ありがとうございました」

王に一礼して、セレイスたちはあちこち壁が崩れた城を出た。聞けば、内戦は互いに兵力が尽き始めていて自然に終結するとのことだった。原因は、世界中の状況を調べて自国もそれに合わせようとする「革新派」と、自国は自国で進もうとする「保守派」の対立だったらしい。そして肝心の異変だが、この騒ぎでうやむやになり、特定できていないということだった。しかし、特定できていないということは裏を返せば反乱よりは程度の低いものであるということなので、セレイスは現段階では無視してよいと考えていた。

セレイス「ひとまず、ルプガナに戻ろう。一応の予定は全部終わったからね。みんな、よくここまで頑張ってくれたね。帰ったらゆっくり休んでね」

やっと終わった。アルムはそう感じた。思った以上に長く感じた、今回の旅であった。

◇◇◇

そして同じ頃。

???「…見つけた…!」

ムーンブルクの図書室で、ある1冊の本を手に取るアーロンがいた。彼はすぐに、その本を捲り始めた。そして、あるページに目を落とす。

アーロン「…何ということだ、偽者だったとは…!!」

驚愕に目を見開くアーロン。そのページには、常識を大きく覆す記述が載っていた。

アーロン「これが…本当だとすれば…!」

本を開いたまま、アーロンはこれまでにないほどの驚きの表情を変えられなかった。


〜続く〜
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