Chapter 21-14
それから十数日が経ち、アルムたちの旅も一応は終わりに近づいていた。しかし5人が向かおうとしている最後の国―――デルコンダルは今、危険な状況にある。そのことを彼らは忘れていなかった。


レイズ『デルコンダルじゃ、ちょっとした反乱が起こってさ、兵士たちが二軍に別れて争ってる』


セレイス(何としても、彼らは守らないと…。それにうまくいくなら…!)

レイズの言葉を思い出し、最低限の義務を自らに課し、さらに上乗せして仕事を考えているセレイス。さしずめ自分がきっかけで停戦に持っていけたら、と考えているのだろう。

セレイス(国内だけの反乱…原因だけでも分かればいいんだけど…)

サマルトリアやローレシアでも反乱の話は聞いていたが、その原因は一度も耳にしなかった。そうやって考え事をしていると、時間は意外に早く進む。規制がかかって1日1便だけになった、デルコンダルへの定期船に乗って2日目。船はあと少しで、デルコンダル港に着くと知らされた。

ルージャ「戦争だって…怖いなぁ…」
ルーナ「だ…大丈夫だよ…多分…」

年が小さい2人は、体験したことのない「戦争」という脅威に怯えている。もちろんその思いは、アルムにも少なからずある。が、彼は決意を固めていた。自分までが縮こまってどうする、2人を安心させてやらないと、と。

アルム「…2人とも、ぼくたちが一緒だから絶対大丈夫だよ。だから安心して」

そうアルムが声をかけてやると、2人は少しだけ落ち着いたようだった。

◇◇◇

タア「…んだよこれは…」

普段何も言わないタアがそう呟きを漏らすほど、デルコンダルの城下町は荒廃していた。かつて訪れたことのある者はその変わり様に言葉を失い、初めて訪れた者はそのあまりに凄惨な光景に目を覆う。そうしてしばらく立ち尽くしていると、急に兵士の声が飛んできた。

*「おい!そんな所で何やってる、早くこっちに来い!!」

手招きを含んだ身振り手振りで、5人を呼び寄せる兵士。彼に連れて来られたのは、緊急の本基地のような場所だった。

*「お前たち…旅行客か?向こうの港でこの国の状況を聞かなかったのか?」

そう問い詰めてくる兵士に、セレイスはややたじろぎながら答えた。

セレイス「いえ、ただの旅行客ではありません。この国の状況も各地で聞いてきました。それでも、僕たちはここに来て王様とお話する必要がありましたから…」
*「…王と話すことがある?」

胡散臭そうだ、と言わんばかりの目つきで、兵士はそう聞き返した。
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