Chapter 20-13
*「グワァァァァッ!!」
セレイス「!!!」

右側の森から突然現れた大きなモンスターが、セレイスたちの前に立ちはだかった。かなり屈強そうなモンスターだ。今のアルムたち4人では、勝てるかどうか危うい。それをとっさに判断したセレイスは、4人の盾になるように立ちはだかった。それを察して、剣を抜きかけたアルムたちもそれを戻す。その間に、セレイスはあることをしていた。

セレイス(来るなら来い…!)

しばらく睨み合いが続いたが、やがて痺れを切らしたのか、モンスターがその巨駆で5人を押しつぶさんとばかりに飛びかかってきた。

セレイス「(今だ!)はぁぁぁぁっ!!」

セレイスは手にした剣を、目一杯地面に叩きつけた。すると、叩きつけた場所から前方に向かって、物凄い威力の何かが放たれた。剣の衝撃波でも、砕けた地面の残骸でもない何かが、そのモンスターを一撃で倒してしまった。

セレイス「…うっ…!」

目眩を感じたか、セレイスが地に剣と片膝をつく。

アルム「先生!!」
ルーナ「だいじょうぶ!?」

慌てて駆け寄るアルムとルーナ。その2人に、セレイスは笑顔を見せて答えた。

セレイス「ふぅ…大丈夫大丈夫。ちょっと力を使いすぎちゃって、クラッとしただけだから」

心配いらない、と2人を制して立ち上がり、剣をしまいかけるセレイスに、タアが声をかけた。

タア「…何なんだよ、今の技」
セレイス「…名前なんか、ないよ。たった今、思いついたんだから」
タア「はぁ?」
セレイス「魔力を剣に凝縮させて地面を叩くと、地面が魔力を吸収しきれずに残った大半の魔力の塊が前に飛んでいく、っていう仕組みだよ。威力は高いけど効率が悪い。でも、一撃で倒せる方法はあれしか思いつかなかった」
タア「…よくやるぜ、ぶっつけで技試そうなんざよ」
セレイス「あれ、心配してくれた?」
タア「そんなんじゃねぇよ!お前がいなくなったら、オレらが何も出来なくなるからだよ!さっさと行くぞ、グズグズしてたらまた邪魔食らうからな」

タアはそう言って、1人祠に向かって歩いていく。

ルーナ「ほーんと、素直じゃないよねー」
アルム「あはは…でも、あの方がタアらしいんじゃない?」
ルージャ「だね!」
セレイス「さ、タアの言うことは正しいよ。早いとこ屋内に入らなきゃ」

タアに聞こえないように4人は言葉を交わし、彼の後を追った。
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