Chapter 20-10
アルム(そういえば…)

ルプガナ地方の広大な平原を歩いている時、アルムはあることを思い出した。

アルム「あの…先生?」
セレイス「…?…どうかしたかい?」
アルム「いや…その、世界中の国を回るって言ってたけど、こっちの方に国は無いので…」
ルーナ「あ、ほんとだ」
セレイス「ああ、まだ言ってなかったね」

セレイスはそうだった、というふうに微笑し、アルムに説明した。

セレイス「この平原の北の祠に、旅の扉があるんだけど…知ってる?」
アルム「はい、行ったことがありますけど…あっ、そうか」
タア「…おい待て、勝手に納得すんなよ」
ルージャ「そうだよ!ボク、まだ分からないよ?」
セレイス「うん、言ってあげるからさ。この先にある祠の中に、旅の扉があるんだ」

セレイスの言葉に、アルム以外の3人は驚いていた。

ルーナ「えーっ、ほんとに!?」
ルージャ「あれがあるの!?」
タア「あんのかよ…」
セレイス「あるんだよ。君たち3人なら、一度は通ってるよね?」

セレイスがそう言い切るのには理由がある。3人の出身はこの世界ではなく、上の世界であるからだ。

セレイス「そういうことだよ。回り道だけど、ラダトームの港が閉鎖されてる今は、旅の扉を乗り継いで…って言ったら何だか変だけど、そうしてアレフガルドに行く方が多分早いんだ。メルキドやリムルダールの港には、今日船が出てないって調べたし、少なくともこのルートなら今日中には着くからね」

なるほど、と周りが納得する中、ルージャだけが不思議そうな顔をしていた。

ルージャ「なんでラダトームの港が閉まってるの?」
セレイス「ああ、それはね…」

セレイスは以前の船の異変を考慮して、ラダトーム国家が港を一時的に閉鎖することを決定したことを話した。ルージャにはまだ、船での異変とラダトーム港の閉鎖が結びつかなかった、いや結びつけられなかったようだった。

セレイス「さてと…また来たね…」

セレイスが前を見据えた。それに気づいて前方に目をやると、確かに複数のモンスターが走ってくるのが見えた。

アルム「負けないよ…!」
タア「何度でも来やがれってんだ!」

再び一斉に武器を構える。さっきみたいに失敗はしない、とアルムは心に強く思った。
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