Chapter 20-8
セレイス「歩いて旅をするなんて、久しぶりだよ…あの頃が懐かしいな」

独り言のように言うセレイスに、ルーナが話しかけた。

ルーナ「先生って、何の旅してたの?」
セレイス「…それ、そんなに気になる?」

気になる気になる。ルーナだけでなく、アルムもタアもルージャも同じ考えだったのか3人は同時に頷いた。

セレイス「そう。変に期待させちゃったかな、僕は自分を変えるために旅に出たんだ」
ルーナ「自分を変えるため?」
セレイス「うん。魔法を親からちょっとかじっただけで、後はずっと家でだらだらしててね、親が行方知れずになってから、これじゃだめだな、って思って家を出たんだ。まあ、親がいなくなれば僕1人になるわけだし、家を空けるいい機会になったのかも知れないね」

へぇ、セレイス先生みたいな人でも駄目な時期はあったのか、とアルムは思った。第一印象が良いと、どうしても言われた過去を疑いたくなるのだ。

セレイス「その旅が、僕を変えてくれた。っと…来たみたいだよ!」

突如、魔物の群れが現れる。一瞬の間を置いて、生徒たちは戸惑う。見たことのない魔物が、ずらりと並んでいるのだ。

アルム「こんなモンスター…見たことないんだけど…!」
ルーナ「あたしも…ていうかなんか強そうなんだけど…!」
ルージャ「ボクたち…勝てるかなぁ?」

数は5対5であるが、あちらの正体がさっぱり分からない。

タア「あいつらは強ぇよ…雰囲気で分かるぜ」
セレイス「見たことのないモンスターだね…確かにかなり強そうだ。でも、それが分かるならタア、君も強くなった証拠だよ。さあ、みんなで戦おう!」
一同「おおっ!!」

それぞれ武器を取り出す者と、呪文の詠唱に入る者とに分かれる。セレイス自身は、割と軽量の細身の剣を持っていた。

ルージャ「いくぞっ、ベギラマ!」

まずは様子見と、ルージャが仕掛けにかかった。牽制としては十分な炎だ。

ルーナ「いっけー、マジックレーザー!」

ルーナの両手から、白く太い光線が飛んでいく。その光線は、中心にいた3体ほどを捉えたように見えた。

ルーナ「やったー!」
セレイス「いや、なかなかタフなやつらみたいだよ。まだ倒れない…」

セレイスの言葉で、ルーナは光線を撃った方を見る。すると、魔物は1体も倒れていなかった。
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