Chapter 20-2
セリス「…セレイス先生、珍しく怒ってたな」
アルム「仕方ないよ…ごめんね、ぼくが無理やり探したから…」

しばらく眠りに落ちた後―――時刻は真夜中過ぎであるが―――2人は同時刻に目を覚ました。すぐにまた眠れるものでもないので起きて話をしていたが、もう2日目の終わりということもあり、咳やくしゃみはかなり治まっていた。

セリス「気にすんなよ。お前のとった行動は、間違っちゃいないと思うぜ。俺はな」
アルム「セリス…本当に、ありがとう…」
セリス「何だよ改まって…俺はお礼を言われるようなこと、何一つやってねーよ。むしろ勝手について来て挙げ句ぶっ倒れて…ほんと、足引っ張りすぎだよな…」

やや自嘲気味に笑ったセリスに、アルムはそんなことない、という風に首を振った。

アルム「…風邪が治ったら、ルプガナに戻ろうか」
セリス「ああ、ムーンブルクにも寄りたかったけど、今はみんなにロエンのことを伝えるのが先だよな!」
アルム「うん!」


そうして2人の小さな旅行は中止となったが、その代価には充分過ぎる情報を手に、彼らはルプガナに戻ってきた。それが、ロエン目撃の3日後だった。

レイシア「そう…ロエンも辛いわよね…」
ルーナ「でも、すごいよね。妹を助けるために一生懸命頑張ってたんだ…」

アルムたちがまず最初に話したのは、当然のことながら同じ部屋にいるこの2人だった。

レイシア「だけど、大丈夫なの?私たちがロエンの情報を握ったと分かれば、向こうはロエンの妹を…」
セリス「大丈夫だよ。ロエン本人は、「仲間に助けを求めたら殺す」って言われたらしい。つまりは、俺たちが勝手に助けようと動く分には、全然問題ないってわけだ」
レイシア「セリス…あなたちょっと見直したわ。だけど…残念ながらそれは違うわね」

レイシアが首を振る。セリスは「違うのか?」とレイシアに問う。

レイシア「ロエンが逃げて私たちが動いてる状況だけを向こうから見られれば、当然向こうはロエンがSOSを出したと考えるわ。相手は誰かも分からないのよ、言葉の理屈は通用しないわ」
アルム「じゃあ…ぼくたちはどうすればいいんだろう…」

アルムのその一言に、4人は考え込まざるを得なかった。
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