Chapter 19-11
*「ベギラマ!」
先手を取って魔道士が仕掛けてくる。炎は2人を飲み込もうとして襲ってくる。
アルム「…ベギラマ!!」
アルムは相殺を試みようと、同じ呪文を撃ち返した。すると2つのベギラマの炎はぶつかり合い、やがて弱まって消えた。
セリス「今度は俺の番だぜ!」
セリスはそう言った瞬間、その場から消えた。気が付けば、セリスの短剣は魔道士を狙い違わず捉えていた。
こうなれば、もう明らかに2人のペースだ。魔道士の放つ呪文を正確に見切り、かわしていく。そして最後に、アルムが反撃に出た。
アルム「いくよ、ライデイン!」
魔道士たちに雷が落ちる。勝敗は決した。ふう、と息をついて、アルムは半分冗談で言った。
アルム「やっぱり雨の日だと雷も強くなるね、うん」
セリス「そういや思ったんだけどよ…アルム、お前自分でライデイン使えるようになってんじゃねーか、すげーじゃん」
アルム「あっ、うん…ちょっと前から、何か体が変な感じがしてるんだ。多分、ぼくにライデインを使えるようにしてる何かがいるような気がするんだけど、誰だか分かんないんだ」
セリス「ふーん…お前も色々大変だよな。まあ、ただ1つだけ俺が言えることっていったら…何かあったら、抱え込まねーですぐ相談しろよな?」
セリスの暖かさのある言葉を聞いて、アルムは少し嬉しくなった。
アルム「うん、ありがとう…セリス」
セリス「ああ。さ、敵はぶっ倒したし、行くか!」
アルム「…うん!」
そうして2人は、勇者の泉へと足を進めた。
◇◇◇
セイファー「皆さん、ニュースです!」
レイズ「ちょっと、集まって集まって!」
所変わってこちらルプガナ。今までアーロンたちに頼まれて、様々な場所を見てきたセイファーとレイズが、つい今し方慌てて戻ってきたのだ。その様子は明らかに普通ではない。
メリー「まあまあ、2人とも。話はちゃんと聞くから、室内で2人して羽をパタパタさせないで。寒くて仕方がないわ…」
セイファー「あっ…ごめんなさい」
メリーの冷静な指摘に、2人も落ち着きを取り戻した。だが、その後メリーが他の4人の先生たちを呼びに行く間、やっぱりセイファーとレイズはどこか落ち着きがなくなるのだった。