Chapter 1-1
教習所の朝は、特別早い…という訳ではない。いたって普通の時間に、皆が目を覚まし始める。


アルムたちも起きて、身支度を整える。そんな中で、1人爆睡している者がいた。―――セリスだ。

アルム「セリスー、そろそろ起きないと、遅れちゃうよ!」
セリス「…んー、あと5分だけ…」

セリスはそう返して、なかなか起きようとしない。横でルーナがため息をついた。

ルーナ「起きないねー。もうほっといたらいいんじゃない?」
アルム「そういうわけにもいかないよ、初日から遅れたりしたら印象悪いよ…?」
レイシア「…仕方ないわね。あまりこういう手段はとりたくなかったんだけど…私に任せて」

身支度を終えたレイシアがセリスに近寄り、なんとセリスの頬を殴った。「ぶっ!!」という声の後、セリスは痛みによって完全に目を覚ました。

セリス「いてぇ…何だよ」
アルム「レイシアって…やることハードだね…」
レイシア「そう?言葉じゃセリスは起きないんだから、殴るしかないじゃない」
セリス(せめてその前に揺り起こすとかして欲しかったんだけど…)

自分が起こされた立場のため、何も言わずに心の中でつぶやくセリス。「とりあえず、ありがとう」とレイシアに言うと、彼女は笑って「ほら、朝ご飯食べましょ」と返した。

◇◇◇

9時少し前。
13人全員が、遅れることなく集まっていた。前にはアーロンだけが立っている。時計の針が9時を指した瞬間、アーロンは口を開いた。

アーロン「よし、全員集まったな。それでは、今から戦術学の訓練を行う」

アルム(えっ…いきなり!?)
アルムは驚いた。いや、おそらくアルムだけではないだろう。レイシアも、セリスもルーナも、みんな目が驚いていた。

アーロン「心配するな。ここに来たんだ、お前たちは必ずついて来れる」

そんなアルムたちの心を読むかのように、アーロンは少し静かに言った。

アーロン「それでは、訓練を始める。悪いが、全員庭に出てくれ」
言うが早いか、アーロンは部屋を出て庭へと向かう。生徒たちも、慌ててアーロンについて行った。
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