Chapter 13-14
アルム「あっ!結構おいしいよ、これ!」
ルーナ「ほんとだ、こっちもいい感じ♪」
四苦八苦しながらも作り上げた料理の予想外の出来に、2人は笑い合った。台所はそれはそれは残念な光景を作り出しているが、そこを気にしてはいけない。
アルム「ルーナ、今度また作ろうよ!…もうちょっと、キレイに」
ルーナ「あはは…そうだね…」
ルーナが苦笑いを浮かべ、また料理に手をつけたその時、部屋のドアがコンコンとノックされた。
???「レンバート、サライ、私だ。入ってもいいか?」
その人物は名乗りはしなかったが、声と言葉からアーロンであることは容易に想像がついた。
アルム「あっ、はい、どうぞ」
アーロン「邪魔するぞ」
最後にもう一度断ってから、アーロンは部屋に入ってきた。
アーロン「…食事中だったか、すまなかったな」
アルム「いや、そんなことはいいですけど…どうしたんですか?」
アーロン「エフェルトたちから、お前たちが2人で料理をすると聞いたからな。少し心配になっただけだ」
ルーナ「先生、あたしたちが作った料理、食べてみてよ!」
アーロン「…頂こうか」
ルーナに笑顔で差し出され、アーロンはわずかに躊躇いながらもそれを食べた。
アーロン「悪くないな。私は料理の知識は乏しいので助言は出来ないが…十分な味だろう」
ルーナ「ほんと!?やったー!」
ルーナが浮かれている一方で、アルムは何か言いたげな顔をしていた。
アーロン「…どうした?」
アルム「先生…ぼく…どうしたら人に頼ってもらえるんでしょうか…?」
相手が信頼、そして尊敬できる相手だからこそ、アルムはこの質問をぶつけた。しかし、アーロンから返ってきたのは意外な答えだった。
アーロン「それは…私も知りたいことだ」
アルム「えっ?」
アーロン「私はある時、自分のしてきたことが間違っていたことに気づいた。それからだ、私が人を頼り始めたのも、人に頼られ始めたのも。信頼とは、自分が自分のことを知った時に掴み取る物なのか…あるいはそれが答えなのかも知れないな。…さて、悪いが私には用事が残っている。食事中に邪魔したな、後はゆっくりしてくれ」
そう言って、アーロンは部屋を後にした。アルムたちは、彼の残した意味深な言葉について深く考えさせられるのだった。
〜続く〜