Chapter 13-13
アルムとルーナが食材と台所に振り回されていたその時、医務室では珍客にセリスもレイシアも、そしてフェアルも驚いているところだった。

セリス「え…」
レイシア「せん…?」
フェアル「…兄さん?」

部屋に入ってきたのはフェアルの兄のラルド、つまりはアーロンだった。

アーロン「…何だ、3人して腫れ物を見るような目で…」
レイシア「あっ…ごめんなさい、ちょっとびっくりして…」
アーロン「分かっている。別に気にしていない」

アーロンは傍から椅子を出し、自ら腰掛けた。

フェアル「…どうしたの、一体」
アーロン「…エフェルトが倒れたと聞いてな。様子を見に来ただけの話だ」

ぽかんと口を開けるセリスとレイシア。2人の反応が一致するほど、彼らにとって意外なことが起こっているということだ。

アーロン「…私は、お前がなぜ倒れたのか分かるつもりだ」
レイシア「えっ…」
セリス「え?熱が出たからじゃないんですか?」
アーロン「その熱の原因がどこにあるか、私は分かるつもりだと言っているのだ。ただそれは私の口から言うには抵抗があるが」

アーロンの難しい言葉が飛び出す。が、ここにいる2人は教習所内でも国語力は高い方だ。

セリス「…それってつまり、理由は知ってるけど言いたくない、ってことですか?」
アーロン「直訳すればそうなるな。では、私はまだ用事があるので失礼する。エフェルト、しっかり休んでおけ」

アーロンは立ち上がってそう言い、部屋を後にした。

フェアル「…ふふっ、兄さんってば、この2年で人が変わりすぎ」
レイシア「…アーロン先生って、昔からああいう人じゃないんですか?」

彼女(だけではないが)のイメージの中で、アーロンは何においても完璧に出来る人間だという感じがあった。

フェアル「全然よ。昔はね、今よりずっと無口だったわ。あと、ちょっと怖かったかも。雰囲気的には、今のタアくんから少し短気さを引いたって感じかな」
セリス「そうだったんすか…」
フェアル「うん。でも、剣の腕はすごかったわ、小さい時から。ただ、今みたいに知的な感じは全然なかったけどね」

フェアルから語られる昔のアーロンは、セリスとレイシアのアーロンに対する印象をがらりと変えるものとなった。
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