Chapter 13-12
ルーナ「えっ!?」
遅れて来たアルムがルーナに事情を話すと、ルーナは驚いたように声を上げた。
ルーナ「アーロン先生の妹!?見たいなー!」
アルム「ルーナ…レイシアの話をしてたんだけど…」
ルーナ「…そんなの、分かってるよ。でも…レイシアは、絶対大丈夫だもん。あたしたちが心配しすぎてたら、レイシアだってうれしくないよ、きっと」
アルム「ルーナ…」
ルーナは何かを我慢しているような表情に見えた。彼女の心持ちを察したアルムは、それ以上何も言わなかった。
◇◇◇
セリス「…バカやろ」
ベッドの傍の椅子に座り、小さく呟くセリス。ベッドの上には、レイシアがずいぶん穏やかな表情で眠り続けていた。
セリス「…俺らを頼れ、ってんだよ」
レイシア「…頼れない…わよ、あなたなんて…」
弱々しく呟くレイシアを、はっと見るセリス。
セリス「…起きてやがったのか」
レイシア「違うわよ、今起きたの」
セリス「…バカ、まだ起きんな」
そう言って起き上がろうとするレイシアを、セリスは押しとどめた。
セリス「お前はなんでそんなに無理ばっかすんだよ。ちょっと待っとけ、何か持ってくるから」
レイシア「セリス…ありがと…」
セリス「気にすんなって」
そう言って、セリスはその場を10分ばかり離れた。戻って来た時、彼は果物の盛り付けられた皿を持って来た。
レイシア「…これ、セリスが作ったの?」
セリス「8割がたな。フェアルさんにもちょっと手伝ってもらった」
レイシア「フェアル…さん…?」
セリス「あ、知らなかったっけな。フェアルさーん!」
セリスが呼ぶと、フェアルはホットティーを持ってやってきた。
フェアル「だいぶよくなったみたいね。安心したわ」
その後、フェアルから事情を聞かされ、レイシアは「ありがとうございます」とお礼を言った。
レイシア「そういえば…アルムたちは?」
セリス「あいつらなら、2人で晩飯作ってるよ。レイシアに任せっぱなしだったから、こんな時ぐらい自分たちが作るって言ってな」
レイシア「そう…あの2人…大丈夫かな…?」
◇◇◇
アルム「うわわっ!ルーナ、水…水!」
ルーナ「うっ、うん!きゃっ!」
レイシアの抱いた不安は、ものの見事に的中していた。