Chapter 13-11
???「…ひとまずこれで安心かな。アルムくん、手伝ってくれてありがとうね」
アルム「いや、そんなのいいですけど…あなたは?」

どうもアルムは女性が気になるようだった。女性は少し笑って、アルムの問いに答えた。

???「わたしはフェアル。あなたもよく知ってる、ラルドの妹よ」
アルム「えっ…アーロン先生の?」
フェアル「そう。まあ…わたしも名字はアーロンなんだけどね。ほんとは、10人ぐらいはこのお屋敷で働いてるお手伝いさんがいるんだけど、みんなそっちの仕事で忙しくて。今までここを担当してたお手伝いさんがいたけど、誰も見てないんじゃない?」
アルム「…言われてみれば、見てないかも…」
フェアル「屋敷のお手伝いの仕事って、思ったより大変みたいでね、わたしはずっと暇だったから、何か出来ないかなって思って。ラルドに言われたのが、この役目ってこと」

フェアルは明るい声で説明してくれた。寡黙な雰囲気の漂うアーロンとは対照的に、フェアルは馴染みやすいお姉さんの感じだった。というよりは、アーロンに妹がいたことに、アルムは内心びっくりしていた。

アルム「…そうなんですか…」
アルムはそう言って、レイシアをちらりと見た。先ほど飲ませた薬が効き始めたのか、レイシアは穏やかな表情で眠っている。

フェアル「気になるわよね。でも大丈夫!わたしがここでしっかりレイシアちゃんの看病をするから、アルムくんは訓練に行ったら?」
アルム「そんなこと…できないですよ…ぼくが気づいてあげられなかったばっかりに…」

少し肩を落としたように、アルムは小声で言う。そんなアルムに、フェアルは優しく声をかけた。

フェアル「レイシアちゃんが無理してたのは、アルムくんたちの手を煩わせたくなかったからだと思うの。だから自分のせいでアルムくんが訓練に行けなかったら、レイシアちゃんは今以上にもっと責任を感じやすくなるかもしれないわ。わたしに任せて、ね?」

フェアルに言われるまま、アルムは部屋を後にした。内心、レイシアが自分の状態を言ってくれなかったことに落胆しながらも、アルムは既に始まっている魔術学の訓練へと向かった。
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