Chapter 13-10
その日の訓練。
アーロン「………という理由から、ひとまずは敵の外見で倒す優先順位を決めることだ」
今日の戦術学、取り扱っている内容は「未知の敵との遭遇について」だった。アーロン曰く、九分九厘モンスターの戦闘タイプは外見と同じだと言う。杖を持った敵は呪文を使うことが多く、筋肉質のモンスターは攻撃力が高い、といった感じだ。
そして、アーロンの言葉の難しさは相変わらずだったのだが、訓練の内容を理解し始めている自分にアルムは内心戸惑っていた。が、それ以上にアルムはあることに困惑していた。
アルム「…レイシア?レイシア!」
レイシア「…あっ、え、何?」
アルム「何?じゃないよ、もうみんな帰っちゃったよ?」
レイシア「あ、ああ…そうね」
レイシアはのろのろと支度をする。明らかにいつもと様子が違った。
アルム「………レイシア、ちょっとごめんね」
レイシア「えっ、なに…ひゃっ!」
レイシアが小さく声を上げる。アルムが手を彼女の額に当てただけなのだが、いつもでは考えられないくらいの過剰な反応。アルムはますます不安になった。そして、その不安は的中した。
アルム「…やっぱり!レイシア、熱があるじゃない!どうして言ってくれなかったの!」
レイシア「ばれちゃったか…。私のせいで、アルムが訓練に集中出来なくなったら嫌だったから…」
アルム「何言ってるの!仲間だったら…友達だったら、すぐに言ってくれて良かったのに…ほら、医務室に行こう!」
彼女の手をしっかり握って、立ち上がるのを助ける。ふらついた足取りながらも、無事に医務室までたどり着く。ベッドのそばに着いた途端に、レイシアはバタリと倒れ込んでしまった。
???「どうしたの?」
奥から1人の女性が出てくる。アルムはこの女性を見たことが無かった。
アルム「あの…」
???「自己紹介は後!その子、すごい熱だわ、ちょっと手伝って!」
女性に言われるがままに、アルムは医務室を右へ左へ動くこととなった。