Chapter 13-7
レイシア「………」
ロエン「………」

2人は無言のまま、向かい合っている。わずかに薄暗く、まだひんやりとした空気が残っている朝の時間。手合わせが決まった日から、2日が経過していた。

どういうことかと言うと、2人とも、あまり人に見られるのが好きではなかったので、アルムがそこを取り計らい、この時間帯に手合わせをすればいい、と提案したのだ。観衆は、アルムただ1人である。セリスたちも、アリュードたちも、まだ意識は闇の中だろう。

アルム「…2人とも、準備はいいかい?」

頷く両者。アルムはそれを見ると、自身も頷き、「はじめっ!!」と合図をして退いた。

緊迫した空気が、一気に動き出した。互いに全く同じタイミングで、相手に向かっていく。

2人が至近距離に接近した時、先に攻撃を繰り出したのは、レイシアだった。いきなり拳を突き出さず、最初にロエンの足を払いにかかった。予想外の攻撃だったのだろう、ロエンは綺麗に足をすくわれた。

レイシア「…やっ!」

一時的に支えを失ったロエンの顔に、レイシアが拳を打ち込む。しかし、決まったかに思われたそれを、ロエンはしっかりとかわし、そのまま突き出たレイシアの腕を掴んで、背負い投げのように投げ飛ばした。

アルム(ロエン…強くなってる…)

2人は正確に着地する。その距離は、少し離れた4、5メートルと言ったところだろう。

休む隙を与えまいとするように、再び2人は動いた。今度はロエンが仕掛けた。接近し、攻撃を行うと見せかけてしない。レイシアが一瞬動きを止める。チャンスとばかりに、ロエンは鋭い蹴りを放つ。が、これはレイシアも読んでいたのか、その蹴りを見事に打ち払った。さらに、打ち払うだけでなく、空いた腹に突きを打ち込む。ロエンは突かれる瞬間に小さく後ろに跳び、攻撃を回避した。

アルム(すごい…2人とも、相手の次の動きを読んで戦ってる…!)

驚くアルムをよそに、ロエンとレイシアはここで一度動きを止めた。
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