Chapter 4-9
「はるか昔、まだこの地が大神官ハーゴンによって苦しめられていたとき、この地には『旅の扉』という物が存在した。その旅の扉は、はるか離れた二つの地を繋ぎ、瞬間的に移動することを可能としていた」
「すげー……」
キースが思わず呟く。旅の扉の存在を知らなかったのだから無理もない。
「元々はハーゴンの魔の手から逃れるため、世界の数多の実力者たちがこれを使い世界各地を転々としたといわれておる。しかし、ハーゴンの、つまり悪の滅亡によって旅の扉を使う必要が無くなった。そこで、旅の扉は封印されたのじゃ。その一つは、ここ、ローレシアにもあった」
「本当ですか……!?」
クラリスが驚きの声を上げる。
「うむ。昔の話じゃがな。儂の考えは、バスラはこの地にはもういない、というものじゃ」
「えっ……?」
アレクは不思議そうに王の言葉を聞く。
「さっきも言ったように、旅の扉は封じられた。封じるのが可能であれば、解き放つのもまた可能なのじゃ。バスラは闇の旅の扉を使い、異世界にすでに移動したのではなかろうか?」

「「「…………」」」
三人は黙り込む。
じゃあ一体どうすればいいんだ? キースは考え込んだ。

「おぬしたちが旅の扉を解くには、三つの宝玉を集める必要がある。新緑の石、深青の石、そして燃赤の石。それらを然るべき地に捧げ、封印を解き放つのじゃ」
「三つの宝玉……」
「その宝玉は一体どこにあるんですか?」
「儂にもはっきりとは分からぬ。だが、ここから北にずっと進んだところにあるザハンという孤島の町に、宝玉にまつわる言い伝えが残されていると伝え聞いたことがある。まずはザハンに向かうがよい」
「そうですか、ありがとうございます。ではこれで……」
「うむ」
キースたちは一礼し、王の間を後にした。

「……儂の期待は正解なのか……?」
王が呟く言葉は、三人には届かなかった。


キースたちは元来た場所まで歩き船に乗ると、北に船を進めた。古からの伝統を受け継ぐ孤島の町、ザハンを目指して。


〜続く〜
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