Chapter 4-5
三人がムーンブルクを発ってから、また数日が流れた。

キースたちは今、船を降り、サマルトリアへの陸路を辿っていた。
内陸にあるサマルトリアは、その近くまで船で行っても、そこからかなりの距離を歩かなければならないのだ。

どのくらい歩いただろうか、やがて三人はサマルトリア城の見える所までやってきた。
目的地が視界に現れると、俄然力が湧いてくるような気がするものだ。疲れ始めていた三人の足取りにも元気が戻った。

その時、どこからともなく声がした。
「おやおや、ムザルはこんな奴らにやられたのか? 全く使えん奴だ……」
「「「!!!」」」

得体の知れない声に、三人は一斉に辺りを見回した。しかし、怪しい人影はどこにも見当たらない。
しばらく三人がきょろきょろとしていると、前方につむじ風が巻き起こり、その中から一人の男が姿を現した。
「何者っ!!」
とっさに腰のナイフを握り、クラリスが叫ぶ。
「俺はバスラ様の部下、七衛兵が一人……風使いラビス!」
「妖術士の次は風使いか……」
キースが剣を構える。
「メラミ!」
先手必勝とばかりに、アレクが仕掛けた。
しかし、アレクの呪文はラビスの前で四方に散り、ラビスを捉えることはなかった。
「な……なんで……!?」
「俺は風使い。呪文は全て受け流せるのだ!」
ラビスは印を結び、三人に向かって腕を振った。
「……受けろ、バギクロス!!」

突如、ラビスから巨大な真空の刃が放たれた。辺りの地面がえぐられ、土埃を伴った真空波は真っ直ぐ三人に向かってくる。
「右に飛べーーーーっ!!」
キースが二人に叫ぶ。アレクもクラリスもその通り、右へ飛びついてとっさにかわした。キースの戦闘センスは抜群である。二人は心からキースを信用しているのだ。

ラビスの攻撃をかわした三人は、反撃の体勢をとった。
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