Chapter 4-3
「うわー……大きなお城だね!」
アレクは興奮している。
「ラダトームと同じ……いや、それ以上の賑やかさだな!」
キースもやや声がうわずっている。

ムーンブルクの城下町も、ラダトーム同様活気づいていた。右へ左へ人々の群れが、せわしなく動いている。
「えっと……私の家に行ったらいいかしら……?」
クラリスが遠慮がちに話しかける。
「クラリス、ここはお前の故郷なんだろ? 今日はお前がリーダーだよ。俺たちはお前の行きたい所に行くさ」
キースはクラリスに笑いかけた。
アレクも頷いている。

「二人ともありがとう。じゃあ、行ってみるわ!」
「ああ!」
「クラリス、あまり固くなっちゃだめだよ?」
アレクが真面目な顔で言った。


クラリスの家はムーンブルク城の西側に位置していた。ムーンブルクには裏口もあるので、クラリスの家から城にはすぐに入れる。

クラリスは扉をコンコンと叩いた。
「はい」
若くはない男の声が返ってきた。そして、ドアが開く。
目の前の三人を順に目にする男。キース、アレク、そしてクラリス――瞬間、男の顔に驚愕の色が浮かんだ。
そして、三人は耳を塞ぐことになる。

「クラリス!!! 今更お前はどの面下げて帰ってきたんだ!? お前に二度とこの家の敷居は跨がせん、そう言ったろうが!!」
男は一気にまくし立てた。
「ごめんなさい……でも、ちゃんと謝っとかなきゃ、って思って……家に入れなくてもいいわ。お父さん、本当にごめんなさい!」
クラリスが涙目で頭を下げる。
「謝れば済む問題じゃない! とにかく、この家には入れんぞ!」
「……分かったわ。おじゃましました!」
クラリスは後ろに向き、走っていった。
「クラリスっ!」
アレクが後を追って、その場を離れていった。
しかし、キースは二人を追わず、男を見つめたままだった。
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