Chapter 4-2
「クラリス……あくまでも俺の推測だから、間違ってても怒るなよ。多分……お前の家はムーンブルクにあるじゃないか……?」
キースが冷静な口調で言う。
「どうして……そう思うの?」
クラリスが尋ねる。

「ムーンブルクが近づいてきたら、急に様子が変わったからさ」
「…………」
「それだけじゃない。お前のその魔法センスは並じゃない……何か特別な家系に生まれてるはずだ。それは自分でも言ってたよな?」
クラリスは頷いた。
「魔法使いの家系って聞いて最初に思い浮かぶのは、魔法大国のムーンブルクだ。そのぐらいは俺にだって分かる。ロトの子孫じゃないとしても、ここの出なんじゃねーかなって思ったんだよ」

キースがそう言うと、しばらく沈黙が流れた。そして。
「……ごめんなさい!」
クラリスが二人に頭を下げた。
「あなたの言う通り、私の出身はここ……ムーンブルクよ。でも……私、家出娘なの。だからここに戻りたくなかったのよ」

決まりの悪い表情で、クラリスは真実を告げる。
「……家出って、親と喧嘩したりしたのか?」
「ええ……」
「……なるほどな。確かにそれじゃ、俺と違ってかなり戻りにくいな」
「そうなの……外で鉢合わせでもしたらと思うと、私……怖くて」
クラリスがうつむく。すると、アレクがクラリスに話しかけた。

「……でもさ、クラリス。悩んでちゃ何も始まらないんじゃない?」
「えっ……?」
「おせっかいかもしれないけど、一度家に戻ってみたらどうかな。きっと心配してるよ、顔を見せるだけでもさ」
「でも、私……」
「とりあえず行ってみようよ、僕たちも一緒だからさ。ね、キース!」
「ああ、当たり前だ!」
クラリスは俯いた顔を上げた。そこには二人の笑顔が映っていた。そんな二人に、クラリスは心を決めたように言った。
「……分かったわ、行きましょう。いや、帰りましょう……かな?」
「はは、そうだな」
「おかえりなさい、だね」
「……ふふっ」
三人は笑いながら、徐々に近づいてくるムーンブルクへと歩を進めた。
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