Chapter 4-1
「キ、キースって……ロトの子孫だったの……!?」
「私、知らなかったわ……」

ルプガナを離れ、海上を漂う船の上。かいつまんだ事情を聞いたアレクとクラリスは、驚きを隠せなかった。
「ああ、どうもそうらしい。俺もさっき聞かされたんだけどさ」
レグルスから聞いたことを二人に伝えたキースは、ぽりぽりと頬を掻きながらそう言った。
「……けど、俺はそれを嬉しく思う」
「なんていうか、キースは嫌じゃ無いの? 僕だったら、何か嫌だな。何をするにもロトの名前がついて回ってきそうで……」
アレクは少し暗い表情で言ったが、キースはいや、と返した。
「確かに重苦しい所もあるかもしれないけど、ロトの子孫なんてそうなれるもんじゃないし、なったのならその事実は変わらないんだ。だから、これからは俺はロトの子孫なんだ、という自覚を持って戦っていくよ」
「……キース、よく言ったわ! あなたは素晴らしいわよ」
「キース、僕たちはロトの子孫じゃないけど……これからも一緒に冒険できるよね?」
「ああ、もちろんだ! 俺はアレクとクラリスを頼りにしてるんだ、これからもよろしくな」
「ええ!」
「うん!」
波に揺れる船の上で三人は、お互いの揺るがぬ信頼を確かめ合った。


順調に航海を続ける船上で、三人は次の目的地について話し合った。
バスラを追うための頼みの綱は、今のところこの船だけだった。言い換えれば、彼らに手掛かりはなく、船を使って行ける場所で情報を集めないことには、進展は得られないということだ。
キースが託されたロトの印について、もう少し調べてみる必要がありそうだった。そのためには、ローレシア、サマルトリア、ムーンブルクのロト三国に足を運ぶのがよかろう、という結論に達した。ロトの子孫についてのことも、ともすればキースのことも、何か分かるかもしれない。
海図を見る限りでは、ルプガナから北に進路を取り、南西に下ってローレシアに向かうのが最も近いように思われた。しかし、ルプガナを北に抜けた外海は荒れることが多く、操舵の心得のない彼らにはやや荷が重かろうという話をリムルダールで聞いていた。そこで、ルプガナから南に下って東進し、アレフガルドを左手に望みながら進むことにした。そうして突き当たる大陸には、少し入った場所にムーンブルク城がある。
三人は、ひとまずムーンブルクに向かって船を進めることで一致した。

船は、ルプガナの大陸沿いに南下したのち、進路を東に変え、進み続けた。数日を費やし、三人の眼前にはいよいよムーンブルクの城に続く陸地が姿を現した。
上陸し、ムーンブルクへ向かうキースたち。しかし、目的地が近づいてきたころ、クラリスがおずおずと二人に申し出た。

「えっと……私、着いたら宿屋で待っていて良いかしら……?」
「どうして? 一緒に来ればいいんじゃないの?」
アレクがそう返す。
「いや、あの……ちょっと具合が悪くて」
遠慮がちに、クラリスはそう言った。

「……クラリス、もしかしたらお前」

どこかおかしな様子のクラリスを見て、キースは何かに気付いたように言った。
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