Chapter 37-14
雷雲から、雷――いや、電撃の柱と言った方が良いだろうか――がゼノムに落ちる。それは、まるでゼノムを押しつぶさんとするかのような威力だった。

「ぐわあああああああああああああ!!!!!」

これまでの何よりも強い衝撃が、ゼノムに襲いかかった。ゼノム自身、ミナデインの威力は想像を遥かに超えたものだった。
「これが……これが人間の強さだ!」
先頭に立つキースが凛とした声で言い放つ。その体からは、なんと白ではなく七色のオーラが溢れていた。勇者は、完全に覚醒したのだ。
「認めぬ……こんなもの、余は認めぬぞぉっ!!!」
凄まじい暴風が吹き荒れる。皆、吹き飛ばされないように体勢を低くする。しかし、キースだけは微動だにしなかった。
「俺は……お前を倒す!」
そう言って、剣を一閃。離れているゼノムの腹の辺りが、ざっくり切り裂かれた。

「ぐわぁっ……!!」
「ギガスラッシュ!!」
また剣を一閃。衝撃波に、ゼノムは吹っ飛ばされた。

「すごいっ……オレのギガスラッシュとは比べ物にならない……!」
「俺のヘルスラッシュも……今のキースにはかなわねえな……」
究極の必殺剣を使いこなす二人が、驚きの表情でキースを見つめる。

「すごいや……最初に出会った時から……やっぱりキースについて来て正解だったよ……」
「私だって……最初はどこか頼りなかったのに、私たちが届かないほど強くなっちゃったのね……」
一番古くからの仲間である二人も、同じようにキースを見つめる。

「友達ではいられるが……ライバルではいられなくなってしまったな……」
「でも……キースならきっと笑ってくれるんじゃないかな? あたしはそう思うけど……」
「ああ、だといいな」
ラルドとルイも、やはり同じようにキースを見つめる。

そして、何も言わないキットだが、もし立っていたなら、きっとこう言っただろう。
「少しでも彼の役に立てたようで……嬉しい限りですよ」
と。
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