Chapter 37-12
「馬鹿な……確かに余の腕はお前の体を貫いたはず……!」
「ああ、そうだ。死ぬほど痛えよ。でも、俺は死ぬ訳にはいかねーんだ!」

キースの体からは、夥しい量の血が流れ出ていた。思わずクラリスが目を伏せるほど、キースは赤く染まっていた。

「……しかし、もうまともに動けまい?」
「ぐあっ!」

一発、二発。
ゼノムがキースに蹴りを加える。それも、格闘家の師範に匹敵するほど鋭い蹴りだ。それを喰らうたびに、キースは地面を転がる。徐々に目が霞んでくる。それでも、キースは何度でも立ち上がった。

「な……何故だ、お前は不死身か……!? 何故立ち上がれる!!」
「さあね……俺は仲間がいれば、何度だって生き返れんだ……!」
「しかし、キース! もうまともな戦闘は絶望的でしょう……!」
「そうかもな……それでも、俺は戦い続ける……! 俺は一人でここに立ってるんじゃない。仲間たちみんな、それから、世界中の人たちと一緒に戦ってるんだ!!」

キットの方に顔を向けて、決然とした表情で言い切るキース。それを見たとき、キットもまた心を決めた。

「……俺は、体が動く限り、お前に立ち向かい続ける!!」
「……小癪な奴め。だが、もはや勝負は見えておるわ! その小娘も、そして貴様も魔力を使い切っておる!」
「ゼノム…あなたは、一つだけ間違っている」
キットは決然とした表情でゼノムを見据えた。
「確かに魔力をほとんど使い切ってしまったことは事実です。ですが、まだ残っているんですよ……」
キットはキースの方を向き、ふっと微笑んだ。
「――後は、任せましたよ」
そう言い残して、キットは呪文の詠唱に入った。

「後はって、どういう意味だよ……っ、あんた、まさか……!!」
「……!! ダメよ、キット! そんなこと、絶対に……ダメ……!」

キースとクラリスは、キットがやろうとしていることに既に気づいたようだった。キットは二人に背中を向け、最後の言葉をかける。その声は、涙で潤んでいた。

「戦いを見届けられないのが残念ですが……必ず……ゼノムを倒して下さい……!」
「ダメだ、やめろーーーーーー!!!」
「キット! ダメ!」

「さよなら…………メガザル!!」
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