Chapter 37-9
「……い……いや、いやっ……」
セルの一番近くにいたルイが弱々しく呟く。真っ赤に染まった地面に倒れたセルから、目を背けられない。
「くそっ……! 目の前で……!」
ラルドが拳を握り締めて体を震わす。その隣では、ディルが剣を強く握り締めている。
「絶対……絶対倒す!!!」
これまでに無いほど大きな声を張り上げ、ゼノムに斬りかかる。

「うおお、サウザンドソード!!」
「愚かな……」

ドシュウッ!!

ゼノムが上げた左手から走った光線がディルを捉え、吹き飛ばす。さらに、吹き飛ぶディルより速く動き、飛んできたディルの背中をいとも簡単に貫いた。二つ目の血だまりが地面にできる。剣を握るディルの腕も、ぴくりとも動かなかった。
「あと六人」
ゼノムが地獄のカウントダウンをする。
「そんな、ディルまで……!」
「つ、強すぎる……!!」

完全に、六人の心から希望の色が消えた。あるのはこの上ない焦りと恐怖、そして絶望感。
「うわああああ……メドローア!!」
アレクが無我夢中で放ったメドローアを、ゼノムは軽々と避ける。そして高々と飛び上がり、凄まじい速さで急降下してアレクの頭を地面に叩きつけた。アレクの体はそのまま倒れ込み、やはり動かない。

「アレクっ……!!」
「あと五人」
「ちくしょう……どうすりゃ……どうすりゃいいんだ……!」
「このままだと全滅だ……!」

キースの表情からも、余裕は無くなっていた。その時、クラリスが動いた。
目の前で、次々と殺されてゆく仲間たち。次々と倒れていく、大切な人たち。
「……許せない。もうこれ以上……誰も殺させはしないわ!!!」
クラリスの持つ、全ての魔力が解放され、暴走、そして爆発する。紛れもなく、彼女のマダンテはゼノムを捉えた。
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