Chapter 37-7
八人が構えて警戒する中、ゼノムは倒れた時と同じくらいのゆっくりとした速さで起き上がった。そして、八人にも聞こえる声でつぶやいた。

「……なるほど、嘘ではないな……! 魔界の支配者を倒したことを認めようではないか」
「けっ、ボロボロの体で何強がり言ってやがんだ、もう一発ぶち込むぞ」
「出来るものならやるがよい。余も全ての力を解き放つ……」

ディルはそれを聞いて飛び出そうとしたが、体が動かなかった。ゼノムが両手の二本の指を合わせ、周りのエネルギーを溜め込んでいくのを見たからだ。中央に発生した、紫がかった暗黒の球体は高速で回転を始めた。

「……まずい! あれは、喰らえば瀕死は免れないですよ!」
皆さん寄り集まって下さい、とキットが叫ぶ。あの技を回避するには、最強の防御呪文以外に無い。

「……この大地もろとも消し飛ぶがよい! カオス・エンド!!!」
「間に合えっ……アストロン!」
キットを中心に、近くにいる者から順に体が鉄化していく。最後のルイが鉄化するのと、回転する球体が地面についたのが同じだった。

次の瞬間、地を這うように紫がかった黒が迸り、やがて一面の地面が黒くなったかと思うと、凄まじい衝撃が走り、生えている木々や建っている建物が全て消えていった。

アレフガルドが、ほんの一瞬にして荒野と化した。

(うっ……嘘だろ……?)
(そんな……僕の町が……!)
(ルビス様……お許し下さい……)
(なんて奴だ……本当にまずいぞ、これは)
(もしアストロンを唱えていなければ……)
(……おいおい、何なんだ今の攻撃は……!)
(……一つの世界を消した……!)
(あたしたち、どうなるの……?)

口に出せない八人の思いが交錯する。そして、ゼノムに変化が起こっていた。
巨大な体は二メートル程に小さくなり、新しいマントをつけている。さらに、頭には何か飾り物のような物をつけていた。

「……今日が、世界の最後の日だ」

ゼノムが呟き終わった時、ちょうど八人の鉄化が解けた。信じられない光景を目の当たりにしながらも、キースは冷静に、鋭い目つきでゼノムを睨みつけていた。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -