Chapter 37-4
「手は休めぬぞ……イオナズン!」
ゼノムの両手に、凄まじいエネルギーが集まっていく。
「まずい、奴のイオナズンは小島程度なら消し飛ばしてしまうぞ!」
「どうすればいいんだよ!」
「まかせて、マジックバリア!」
ルイが全員にマジックバリアをかける。その間にキットは新しい呪文を唱えていた。

「……マホキテ!」

いよいよ大爆発が起こった。森の木々が根こそぎ倒れ、また吹き飛ぶ。さらに凄まじい熱風が八人に襲いかかった。

「あちちち……!」
「熱っ……!」

吹き飛ばされないように、体勢を低くして耐える八人。やがて熱風が過ぎ去り、イオナズンの威力もおさまってきた頃、キットの体が淡く光っていた。マホキテによる効果だ。
「ここは少しばかり身を削ってでも……魔力を確保しなければ……!」

そんな中で、光の球が真っ直ぐゼノムに向かっていた。この大爆発に紛れて、アレクがメドローアを放ったのだ。
「当たれ……!」
「甘い!」
ゼノムは左腕を振って、まるで野球のようにメドローアを打ち返した。光の球はアレクのはるか頭上を抜き、空の彼方へと消えていった。
「くそっ……もうちょっとだったのに……!」
「なんて奴だ、とっさに左手だけにマホカンタをかけやがった……!」
頼みの綱、メドローアさえもはねのけられた。その時、ルイが叫んだ。
「……いくわよ! ドラゴラムーー!!」
「ええっ、ドラゴラム……!?」
クラリスが思わず声を漏らす。見る見るうちにルイの体は巨大化していき、やがて薄桃色の鱗を纏った竜が目の前に現れた。その大きさは、決してゼノムには負けていない。

「これは……いけるかもしれませんよ」
キットの呟きをセルは聞き逃さなかった。
「何が?」
「ドラゴンにはいくつか特性があるんです。まず、ブレス系の攻撃を受け付けない。さらに、呪文に対してかなりの耐性がある。そして、攻撃力と防御力が格段に上昇する。主にこの三つです。ドラゴラムは世界でも使い手が両手で数え切れるかどうかという伝説の呪文なんですが……まさかまだ10歳の彼女が使いこなせたとは……!」
「なんだって……!?」

キットの言葉を聞きながらも、セルは不安になった。
もしかしてルイは、自分たちの盾になろうとしているのではないか、と。
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