Chapter 37-3
「見抜いた? どういう意味だよそれ?」
「嘘かもしんねーけどな、あいつの攻撃にやられたって思えばやられる。逆にやられてないって思えばやられないんだ」
「はあ?」

意味が分からない、というように眉をひそめるディル。不可解なキースの言葉を、キットが分かりやすく説明した。
「つまり、ゼノムの放つ光線には、幻覚作用が含まれているんです。ただし、普通の幻覚と違うのは、はまった場合にそれが現実になるところです」
「……なんだそりゃ。分かったことにしとくぜ」

キースは剣を握って、考えを巡らせた。普通に攻撃しても、与えられるダメージは皆無に等しい。ならば、攻撃力が一番高い自らの特技で攻めるしかない。
「キース、ちょっと待って」
アレクがキースの前に進み出た。
(あの強力な闘気が効果によるものだとすれば、消し去れるはずだ!)
「……ギガジャティス!」

波動のようなものがアレクの手から放たれる。それがゼノムを通過した後には、何の変化も無かった。
「もしや、余の纏う闇黒邪気が偽物だとでも思ったのか?」
「……っ、やっぱりダメか」
アレクは悔しげに下唇を噛む。
一方で、キースはギガブレイクを放とうとしていた。
「お前……いきなり!」
「いきなりだから良いんだ、ディル! こいつにこれが効かなきゃ、別の手を考えるしかない!」
キースは剣を振りかぶって、ゼノムに向かっていく。

と、ゼノムの口が動いた。そして、その口から灼熱の炎が吐き出された。

「くそっ……フバーハ! ……うああああっ!!」
ダメージを軽減したにも関わらず、キースは全身に火傷を負った。慌ててルイがベホマを唱えに行く。
「さて……次は冷えて貰おうか」
言うや否や、今度は冷たく輝く息を吐き出してきた。先のキースのフバーハでダメージは軽いはずだったが、その凄まじい冷気に全員の体力は削られていく。
「まずい……回復が追いつかない! このままでは魔力が底をつく……!」
ベホマラーを唱えながら、キットは言った。しかも、こちらが攻撃に転じる間がない。こちらが一つの動作をする間に、ゼノムは二つ、三つの動作をしてくるのだ。

「こいつ、めちゃくちゃ強えな……」
歯を食いしばりながら、キースは三度剣を握り締めた。
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