Chapter 37-2
「……余に攻撃を当てることも叶わぬか」
「うっせぇ、今当ててやらぁ……! くっ……!」
相変わらず、キースの全身に痛みが走る。
「お、お前、さっき言ったことと違うじゃないか!!」
「そうよ!! 全力で戦えとか言ったのに、これじゃ戦えないじゃない!!」
セルとルイがゼノムを見上げて叫んだ。

そこで一瞬、間が空く。そしてゆっくりとゼノムが言い放った。
「この程度で、全力で戦えぬことは決してない。曲がりなりにも、魔界の支配者を倒したお前たちが。ましてや、その中の頂点に立つ強さを持つ、こやつが」
「ひっ、開き直った……!」
「なんてやつだ……!」

二人は悔しげに、ゼノムから目を逸らした。その時キースから、二人にとって予想外の言葉が飛び出した。

「いや、あいつの言う通りだ……!」
「「……!?」」
「まだあいつの本当の力も見てねーんだ、こんなとこで諦めてちゃ……話にならねーよ!」
渾身の力で自らの体を前へ飛ばし、ゼノムの脚の部分に斬りつける。全く傷は付かない。それでも、仲間を奮起させるには充分な行動だった。
「キースが頑張ってるんだ、僕たちも頑張らなきゃ!」
「ああ、あいつだけに苦しみを背負わせられないしな」
「はい、私たちも力を合わせましょう!」

そんな仲間たちだが、キースは再び動けなくなっていた。ゼノムはそれを見て、冷ややかに言った。
「世界を救う勇者が、このような低級の呪いにも打ち勝てぬのか?」
(呪い……!? 呪いなら、解けるじゃないか!!)
アレクは今の言葉にはっとした。
「キース、気付けなくてごめん……シャナク!!」
キースに手をかざすアレク。やがてキースの全身から、焼け付くような痛みが消え去った。
「よし、動ける! これでもうその手には引っかからないぜ!」
「……果たしてそうかな?」

ドシュウッ!!

言うが早いか、ゼノムは再び光線を放った。同じように、キースが倒れる。
「なっ、この外道が……!」
「てめぇ……姑息な手使いやがって……!」
ラルドとディルは怒り心頭だった。それ以外の五人も、段々と腹が立ってきていた。

「ざけんじゃねーぞ! もう喰らわねーっつっただろうが!!」
「ほう、やはりもう見抜きおったか。油断のならん奴らだな……」
勢い良く立ち上がったキースに対して、ゼノムは依然として冷静沈着だった。
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