Chapter 37-1
「ゼッ……ゼノム……!?」

キースはその巨体を見上げて呟いた。優に四メートルほどはあろうかという、人型の姿。整った顔は、何かに思い浸るように目を伏せている。わずかに地面から浮いており、何より放たれている凄まじい暗黒のオーラが無視できない。ディルのオーラが明るい黒なのに対して、ゼノムの放つそれは無限の闇を思わせるものだった。

「お前が……ラスボスかよ……!」
「……いかにも」
「へっ、さっさと決着つけてやるぜ!」
口ではそう言うものの、キースの足は震えていた。
「お前の望みはそれだな?」
「……は?」

ドシュウッ!!

ゼノムの手から、謎の光線が発せられ、それはキースの胸を貫いた。

「……っ……!!!」
何も口にすることができないうちに、キースはその場に倒れ伏した。
残った七人全員は、その光景に戦慄した。

「なっ……何をしやがった!」
ディルが半ば叫ぶように声を上げる。ゼノムは落ち着き払っていた。
「何を……そやつの言葉をただ実行しただけではないか……」
それはまるで、キースを殺すことなど造作もない、と言わんばかりの口調だった。

「くっ、そ……!」
倒れていたキースが起き上がった。ゼノムはそれを見て、続けた。
「……だがすぐに殺しはしない。余を呼び寄せたのだ、それなりに余を愉しませてくれなければ釣り合いが取れぬ」
「なっ……私たちは遊び道具だって言うの!?」
「強ち間違ってはいないが…お前たち八人には、全力をもって余と戦ってもらわねばならぬ。余を呼び寄せるほどの力の持ち主は、それを義務とするのだ。それをすぐに、それも最初の一撃で簡単に死なれては何の面白味もなかろう」
「ちっ……ムカつく奴だぜ」
ディルは吐き捨てるように言った。しかし、アレクはゼノムを見上げ、悔しげに歯を食いしばった。

(けど……このゼノムには勝てる気がしない……!)

その時、起き上がったキースが少し笑った。
「へっ、助かったぜ……!」
「……助かった、だと?」
「その甘さが命取りなんだ……よ!」
キースは剣を振りかぶり、高々と飛び上がろうとした。だがその瞬間、キースは体の内側から焼け付くように鋭い痛みを感じた。

「かっ、体が……思うように動かねー……!」
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