Chapter 30-11
「吹き飛ぶのは……お前の方だ!!」
ラルドは叫んだ。

「……ジゴスパーク!!!」

ラルドの持つ全ての力が注ぎ込まれた地獄の雷が、バリーを捉える。
「くっ……おのれっ!!」
対するバリーも渾身の力で抑え込もうとしている。しかし、ラルドは疲れた声ながらもきっぱりと言った。
「そのジゴスパークは俺の全てだ。お前などに止められはしない」
その言葉に偽りはなかった。バリーの力を上回った雷の玉が、バリーを巻き込んで弾け飛んだ。
「……勝った……!」
ドサッと、その場に座り込むラルド。ここに、己を賭けた激闘が幕を下ろした……かに思われた。
ところが、そうではなかった。

「流石だ、としか言いようがない」
「何っ……!?」

バリーの声が、確かに聞こえた。ラルドが何とか立ち上がると、驚くことに目の前にはバリーがいた。しかし、やはりジゴスパークの攻撃は受けたようで、もはや虫の息といった様子だった。
「……ここで死んでは意味がない。危ないところだった」
「お、お前……あれを喰らってなぜ生きて……!」
ラルドは激しく動揺していた。こちらに戦いの余力は残っていないからだ。反対に、バリーは一切動じず落ち着いていた。
「そう焦るな。戦う力が残っていないのはどちらも同じだ」
「何だと……!?」
「認めるのは癪だが、我も死に際だということだ。……ラルド、貴様は必ず我が殺す。次に戦う時には、全ての力を解いて戦おうではないか……!」
そう言い残して、バリーは消えた。

「全ての力……奴は本気じゃなかったってのか……!」

ラルドは壁を叩いた。これでは次は負ける、もっともっと強くならなければ。
自分に言い聞かせ、もはや面影を残さないエジンベアの城を一瞥して、ラルドは体を引きずり、船に戻っていった。


〜続く〜
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