Chapter 30-10
辛うじて原型を留めていた城の壁が完全に吹き飛んだ。砂埃が嫌と言うほど舞う。バリーは邪魔そうに砂埃を払いのける。

「さあ、出てこい。この程度で死ぬようでは、名を教えた甲斐が無いぞ……!」

次第に晴れてゆく前方を見つめて、バリーが小さく呟く。とその時、ゲホゲホと咳き込む音が聞こえてきた。どうやらラルドは無事のようだ。
煙が完全に晴れ、ラルドの体がはっきりと見えてきた。至る所に傷を負ってはいるが、致命傷にはなっていないようだ。
「……一つだけ教えておいてやる」
「……?」
「俺はお前が思ってるほどヤワじゃない。それに魔力の低さを侮るなよ。俺が必死に修行した成果は、きっちり出てるんだからな……」
強力なイオナズンをどのようにして回避したか気になったが、バリーはそれ以上にただラルドの剣に目を凝らしていた。よく見れば、微かに電気のエネルギーが感じられる。

「撃つぞ……俺の必殺技を……!」

ラルドは静かに、しかしはっきりとした口調で言い放った。バリーの口元がわずかに歪む。
「これだ……我はこのような奴との戦いを望んでいたのだ……! 受けようではないか、貴様の技を!」
バリーは防御の体勢をとった。自信があったのだ。町人に向けて放たれたあの程度の威力なら、普通に受け止められる。バリーは、ラルドがまだジゴスパークを極めていないと確信していた。
「言ったな、よく見ておけよ……!!」
ラルドが剣を地面に突き立てる。その瞬間、剣に感じられていたエネルギーが凄まじいほどに強くなった。
「何……!? 先程のジゴスパークより……!!」
バリーは驚きの声を上げた。先のジゴスパークに比べて、威力が桁外れだ。そして、受け止められるという絶対の自信が、わずかに揺らいだ。
しかし、ラルドは行動の変更をもはや許さなかった。既に目の前には、放たれる寸前の巨大な雷があった――。
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