Chapter 30-6
エジンベアの島が近づいてくるにつれ、ラルドは全身が微妙に汗ばんできた。町では正気を失った町人たちが手ぐすね引いて待っているだろう。それだけでなく、一度彼らにやられかけているので、少し冷や汗も含まれていた。
「今度は負けない……!」
力のこもった声で、ラルドは島を睨みつけた。

船が前と同じ場所につき、いよいよ再上陸となった。ラルドは飛び降りるように船から降り、町に走っていった。

町では、前と同じように町人が虚ろな目で歩いていた。と、いよいよそこにラルドが到着すると、その途端にたくさんの町人が、群がるようにラルドに襲いかかってきた。
しかし、今度はラルドは落ち着いていた。素早い動きで町人から距離をとると、すぐさま剣を抜いた。すると、彼の放つ青いオーラが徐々に紫がかっていく。
「まとめて喰らいやがれ……!」
ラルドはそう言うと、剣を地面に突き刺した。その瞬間、紫色の雷の玉のような物体が浮かび上がった。そしてそれは見る間に巨大になってゆく。
ラルドはギリギリまで町人を引きつけて、ついにその技を放った。地獄から呼び寄せられた雷が、町人を飲み込んでゆく。それは、必死の修行の末にラルドが身につけた、超強力な雷撃剣技。

「……ジゴスパーク!!!」

地獄の雷は一瞬にして町人たちを黒焦げに変えた。そして、その後には瓦礫が残った。
「くそ……誰かに操られてたとは言え、殺るしかなかった……!」
ラルドは唇を軽く噛み締めた。しかし、今のラルドには無数の町人相手に手段を選ぶ余裕は無かった。そして、彼にはまだやるべき事が残っている。
行く手に見えている、廃墟と化したエジンベア城。そこから町人を操っていた者がいるはずだ。
ラルドは服の埃を払い、エジンベア城に向かって走っていった。
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