Chapter 30-4
「なるほど、そういうことか……」

様子を見たラルドは、脱力気味にそう言った。
エジンベアは国ではなく、町として生まれ変わっていた。ただ、やはり何か違和感がある。人の目が虚ろなのだ。
「重労働が続いたりしたのか……?」
訝るラルドだが、回りくどいのは性に合わない。単刀直入に町人に話しかけた。
「……おい、顔色が悪いがどうかしたか?」
「う……うわああああっっっ!!」
「何だと……っ!?」
ラルドがたずねた途端、町人がラルドに襲いかかってきた。ラルドはとっさに受け身をとってかわしたものの、騒ぎを聞きつけたのか、町人が次々と現れ、ラルドを攻撃してくる。
(駄目だ、多勢に無勢だ、これでは……!)
防戦一方のラルド。なんとか防ぎかわしとするものの、徐々に体力が減ってきた。
(こんな時、キットがいれば……っ!)
ふと考えて気づく。今まで、自分はキットに頼りすぎだった、と。

「くそ、仕方ない、ここは一旦退かなければ……!」
町人の手を抜け、どうにか撒いた。しかし、これは困った。ラルドは対複数戦は苦手なのだ。彼の強さは一対一で初めて発揮される。
だが、そうは言っていられない状況になった。ラルドは考えた末にポルトガに引き返し、宿屋にまた長く住み込むことにした。幸い、元手はアリアハン周辺でかなり貯まったから心配なかった。


それから、ポルトガでのラルドの必死の修行が始まった。昼間は複数の敵を相手に行動パターンをつかみ、夜は部屋で寝る間を惜しんで本を読むのに没頭する。そんな日々が、またしばらく続いた。
そして、ある日。

「……よし、やった……!」

ボロボロの体で、ラルドは呟いた。剣を握る彼の前では、五、六匹の魔物が黒焦げになって息絶えていた。ラルドはそれを確認すると、もう限界とばかりに意識を手放し、その場に崩れ落ちるように倒れ込んだ。
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