Chapter 30-3
ラルドが商人から得た情報、それはエジンベアについてのものだった。

「なんでも、ついこの前に壊滅したと言われてるエジンベアの国が、ものの見事に復興してるんですって。この短期間に、一体何があったんでしょうかねえ……」

エジンベア。ラルドはその言葉をゆっくりと発し、自嘲気味に笑って唇をゆるく噛んだ。
王の勝手に、兵士ばかりでなく国民までが巻き込まれた哀れな国。しかし何よりも、自分の友を一時的に奪った憎き存在、バルシドーを復活させた王の愚行が許せなかった。
「……出来れば二度と行きたくはなかったが……仕方ないか」
どうしても気になる。あのボロボロの状態から、如何にして復興したというのか。行って真偽を確かめなければ、気持ちが鎮まらなかった。ラルドはエジンベアに向けて、旅立ったのだが。
「……しまった、キメラの翼を買いだめしておくのを忘れた」
移動手段を忘れていたラルド。十分足らずで、アリアハンに逆戻りとなった。


キメラの翼を放り投げ、たどり着いたのはロマリアだった。的確なイメージを描けなければ、目的地には着けない。エジンベアは極地方の小さな島国だ。もし目的地からずれ、海に落ちでもしたらたまったものではない。そこで、安全にロマリアに飛んで、歩いてポルトガまで行き、定期船に乗って行こうと考えていたのだが、その時ラルドの目に飛び込んできたのは、かつて自分たちが使っていた船だった。

「…………」

しばらく固まる。
今この船は俺の私物か? もしかして、やりたい放題か?
そんな考えがふと頭をよぎった。

しばらくの後、ラルドは船上にいた。この付近なら地図無しでも行ける。
大陸を大きく回り込み、北に航路を取る。
「見えてきたか……!」
船の行く先には、確かに見える小さな島と城。船はスピードを落とし、岸辺にピタリと着いた。
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