Chapter 28-11
「けど……ルイ、さっきからいろんな呪文使ってるだろ? 体、大丈夫か?」
セルは心配そうに聞くが、ルイは明るい笑顔で返した。
「だいじょーぶ! まだまだいけるんだから!」
「そっか、安心したよ。じゃあ、行こうぜ!」
「うん!」

またキメラを操って二人が向かったのは、ダーマ神殿だった。ここから井戸に入り、下の世界に移動するわけだ。
井戸をくぐって廃墟と化した神殿を抜け、二人は青空の下にやってきた。
「じゃあ……もう一回、お願い」
「うん、任せて!」
再び二人がキメラに乗って飛び上がる。

着地したのは、どこかの町の前だった。地図を見れば、キースたちがザルグと激闘を演じた島から北に位置している。
モンストル――ここが二人の故郷だ。町の隅にひっそりと建っている家は、あの日のままだ。
そう、魔王軍が攻めてきた、あの日のまま。

町全体は、あれから見事に復興していた。それほど人が多いわけではないが、店を見ればなかなか賑わっている。
二人はその店で花を買い、壊れかけた自分たちの家に向かった。そして傍の地面に、花を置き、手を合わせた。
はっきりと知っているわけではないだろう。しかし二人は両親にすがる思いを捨てて気持ちを切り替え、一心に祈った。

「……父さん、母さん、オレたちのやってることって、間違ってないよな……?」
「絶対、仇をとるからね。それまで我慢して……待っててね」

そんな二人を、モンストルの町人は遠目に見ていた。
「……やっぱり亡くなっていたのか、あんな小さな歳で……可哀想になあ」
「でも偉いわね……あの子たち、きっと将来立派に成長するわよ」

二人は前を向いて歩き続けようとしているのだ。過去に決別し、今再び前へ。

そんな二人を、太陽は優しく照らしていた。


〜続く〜
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