Chapter 28-10
眩しい光が辺りを包む。セルの放った衝撃波は、四人の体を完璧に捉えていた。
薄れゆく意識の中で、四人はその時悟った。
――勝てる相手ではなかったのだ。自分たちとは次元が違う。かつて戦ったキースたちも、そして目の前にいるこの少年と少女も。
「くそっ……!」
ファライドのつぶやきが、彼らの最後の言葉だった。
それを最後に、辺りには静寂が訪れた。聞こえるのは二人の呼吸の音だけ。
と、ふいに景色が元に戻った。塔の最上階の部屋には、一切乱れはない。何事も無かったかのように、テーブルや椅子も並んでいた。
ただ一つ違うのは、二人の様子だけ。自分たちが勝った、そう感じた瞬間、二人は抱き合って喜んだ。
「やったな! オレたち勝ったんだ!」
「うん! 良かった、どっちも無事で……!」
「けど……まだバリーが残ってるよな……!」
「そうね、あいつをやっつけなきゃ!」
二人は頷き合って、塔を下りていった。
外に出てみると、日は高く昇っていた。昨日から一睡もしていない二人は、ここにきて瞼が重くなってきた。
「……っといけねっ、こんなとこで寝たらミイラになるぞ」
「……ふわぁ……そうだ、あれを試してみよっと……ザメハ!」
ルイが呪文を唱えた瞬間、二人の目はパッチリと開いた。
「わっ、全然眠くない……ルイ、ありがとな」
「ふふ、どういたしまして」
最大の敵になりつつあった眠気を覚ました二人は、砂漠を歩いていった。
「待って、トヘロス!」
辺りからモンスターの気配が消える。行きにも唱えていたのだが、この暑い中、激しい運動はなるべく避けたいのだ。
日も落ちて薄暗くなってきた頃、二人は落下してきたポイントの近くに戻ってきた。と、ここでセルが、ある提案をする。
「一回、モンストルに帰りたいんだけど……いいかな、ルイ?」
ルイとしては、今からキースたちの行方を追って行こうとしていたが、セルの意見に不思議と賛成出来た。
「……うん、わかった。帰ろっか、モンストルに」