Chapter 28-6
「うおおおっ!!」

セルは剣をバリーに振り下ろした。しかし、相手も六隊長の一人、そう簡単には倒せない。ひらりと身をかわされた。
「我以外の五人は全て倒されたと聞くが……魔王軍消滅部隊隊長の我を倒すことは叶わんぞ……!」
「そうかな?」
ルイが巨大な火の玉を、両手に掲げている。
「メラゾーマ!!」
同時に放たれた二発の火の玉は、合体して一つになった。凄まじい熱と大きさである。
しかし、バリーはいたって落ち着いていた。
「もう忘れたか? 我が消滅部隊隊長であることに……」
「!!!」

なんとバリーは突き出した右手で火の玉を受け止め、それを跡形もなく消し去ってしまったのだ。これには、二人も愕然とした。
「メラゾーマが消されるなら……」
「どの呪文も効かないってことか……」
「それだけではない」
バリーが今度は左手を向けている。
「貰ったものには、お返しをせねばなるまい」
直後、巨大な火の玉が形成されてゆく。
「あれは……あたしのメラゾーマ!」
「あいつは……ただ消すだけじゃない! それを……吸収して跳ね返してるんだ……」
「その通り。だが、貴様らは弱くなったな」
「「!!?」」
「今のメラゾーマも……先の剣撃も……決定打に欠けている。闇に染まっていた頃の方が強かった……メラゾーマ!」

先ほどの呪文がまっすぐルイに返ってくる。それを見たセルは、無我夢中で飛び出した。
火の玉はセルを直撃した。

「うわああああーーーーーー!!」
「セルーーーー!!」

大きな火球をその全身に受けたセルは、立つことすらできなくなり倒れ込んだ。ルイはすぐさま、セルに駆け寄ってベホマを唱える。だが、受けたダメージが大きく、なかなか回復しない。

「……弱者が庇い合う姿は、見るに見かねる」
苦々しげにバリーは言った。
「はまだ重要な仕事がある、ここで退こう。貴様らの相手は、この四人で十分だ」
バリーは何かの言葉をつぶやいた。その後、セルとルイには目もくれず、その場から消え去った。途端に、塔から漂っていた闇の気配が一気に薄れた。

しかし、危機はまだ過ぎ去っていなかった。ルイが振り向くと、そこにはバスラ七衛兵のムザル、ラビス、ブラスト、ファライドに瓜二つの、四つの人影が待ち構えていたのだ。
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