Chapter 28-5
内部は入り組んでいたが、出てくる敵は少なく、さらにセルたちにとっては苦にならない敵ばかりだったので、時間をかけてじっくり調べる事ができた。

塔も最上階に近づいた頃、ふと窓の外を見ると、空が夜を過ぎて白んできていた。
「あちゃー、徹夜しちゃったな」
「お父さんとお母さんがいたら、何してんの! って怒られるよね」
「そう言えばそうだなー。あっ、この階段上がったら一番上の階じゃないかな?」

セルは長い螺旋階段を一段一段上っていく。闇の気配はかなり濃く、強くなっている。しかし二人にはまだそれが分からない。
ギィィ、と嫌な音を立てて扉が軋む。その先には、何者かが佇んでいた。

「……あれ? バリーじゃんか、どうしたんだ、こんなとこで」

その部屋には、セルがバリーと呼んだ人物が椅子に座っていた。
「貴様らは……今更我に何の用だ?」
恐ろしく低い声で、バリーは冷たく言い放った。
二人は返答に困る。何しに来たと言われても、こちらはただ好奇心から塔を調べに来ただけだ。それより何より、知り合いに冷たくされたことに困惑した。
セルは思わず、「何でそんなこと……オレたちは仲間じゃんか!」と言いそうになったが、慌てて思い止まり、首をぶんぶん振った。いけない。自分たちはもう魔王軍にはいないのだ。つまり、目の前にいるこのバリーと言う者は紛れもなく――敵だ。

「バリー、オレたちと勝負しろ」
「えっ!? セル、何でバリーと……あっ!」

ルイは何かに気づいたように口をつぐんだ。
「そうだ。もうオレたちとお前は敵だ!」
「敵……か。ちょうど退屈していたところだ。良かろう、来るがいい」
バリーは座っていた椅子から立ち上がり、何かを呟いた。途端に辺りが真っ暗になり、壁などの障害物が消えた。
「……ここは闇の空間、戦うための場所だ。我は物を壊す趣味はないのでな。貴様らもこの方が動き易かろう」
バリーはそう言って、セルとルイのほうを向いた。
その表情は見えない。しかし、邪気と殺気に包まれたその空気を、二人もここにきて感じ取ることができた。
「魔王軍六隊長の力を甘く見たこと、後悔しながら死ぬがいい」
「……死んでたまるか。行くぜ!」
「……勝負よ、バリー!」

二人は並々ならぬ気合を入れて、バリーとの戦いに臨む。
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -