Chapter 28-3
目も眩むほどの高い所から、一切の躊躇なく命綱無しで飛び降りる。普通の10歳の女の子には到底出来ないことだ。
ルイと言えども、完全に例外であるわけではない。多少の恐怖心はあった。しかしそれ以上に、ルイはセルを助けるという気持ちが強かったのだ。

(セルがいなくなったら……あたしはひとりぼっち……そんなの絶対嫌!!)

空中を落下する二人。地面はもうそこだ。

「イオラーーーーッ!!」

ルイが叫んだ。
爆風が二人を巻き込む。しかし、それが落下の衝撃を和らげた。さらに幸いにも、下の地面は広大な砂漠の端部で、砂地がクッションとなり、二人はほぼ無傷で助かった。
「いてて……ルイ、ありがとうな」
「ううん。セルが無事でよかった……!」
服についた砂をはたき、立ち上がった。見渡せば、遥か西に高い塔が見えた。
「あれは……?」
「なんだか、不思議な感じのする塔だな……」
セルが呟くが、不思議な感じなどというものではなかった。塔からは、これでもかというほど闇の気配が漂い、砂漠を支配しているのだ。どうやら、彼らはまだ完全に闇の支配を抜け出せたわけではないようだ。子供の心は無垢であるがゆえに、染まりやすい。
「……行く?」
「ああ! オレ、あそこに何があるのか考えたら楽しみになってきたぜ!」
セルの表情が明るくなる。二人は塔に向かっていった。

だが、ここは広大な砂漠。思うように足が進まず、そこに暑さも加わり、やがて二人に疲れが見え始めた。
「くそ、見えてるのにまだ着かないのかよ……」
「あたし、足が痛くなってきた……」
弱音をこぼしながらも、二人は歩を進める。そして、夜も更け始めた頃、ようやく塔の入り口にたどり着いた。

「真っ暗で何にも見えないな」
前を歩くセルがぼやく。扉がどこかはっきり見えないのだ。ルイはそれを聞き、頷いて呪文を唱えた。
「ラナルータ!」
途端に、砂漠は日の光に包まれた。
「これで大丈夫ね!」
「うん、サンキュー!」
二人は塔の入り口の扉を見つけた。が、ここでさらなる問題に直面することになる。
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