Chapter 27-13
この日は、一日休みを取ろうということで、上の世界のレイドックに飛び、今更ながら先の魔王軍の件の真相を王に話した。初めにキットが囲まれ、仕方なく呪文で眠らせたこと、そしてその後にセルとルイが兵士たちを襲ったことなど。

「生意気な台詞はあのガキが吐いてたのか」
「まあ、そういうことになるな」
宿屋に向かう途中、キースとディルはセルたちについて話し合っていた。
「それで思い出したけど、あいつらどうしたんだ?」
「ディル、お前王の話聞いてなかっただろ。あいつらは王に謝りに来て、旅に出たって言ってたじゃねえか」
「知らん。退屈すぎたもんで、半分寝てたからな」
「やれやれ……」
そんなやりとりの横では、キットが苦笑いを浮かべるのだった。

宿で一晩休み、次の日レイドックの城下町を歩いているとき、一羽の鳩が、キースの元に飛んできた。足に手紙が括りつけられている。
「あれ、この鳩どっかで……」
見覚えのある鳩の足から手紙を外し、読む。
「なっ……!!?」
キースは驚愕した。つられて二人も文面を覗き込む。
そこには走り書きのような字で、短い文章が書かれていた。


『キースへ

この手紙が早急に届くことを願う。

大変なことになった。ルプガナからそう遠くないラダトームの国が、魔王軍に乗っ取られたのだ。ローレシアなどの近隣諸国と共に対策を練っているが、敵が動き出すのは時間の問題だ。ラダトーム上空には不吉な暗雲も見えてきている。

この手紙を読んだら、大至急ルプガナに戻って来て欲しい。お連れの方にもお願い申し上げる。今頼れるのは、キース、おまえたちだけだ。既にラルドとは連絡が取れた。返事は要らない。ただ早く、早く帰って来てくれ。詳しくは屋敷で話す。

レグルス=アーロン』


キースは急いで日付を見る。まだ丸一日経ってはいない。
「思い出した。あの鳩、おじさんが大事にしてた鳩だ……!」
キースは飛んでいく鳩を見つめた。そしてすぐに二人に向き直った。
「ディル、キット、お前らも力を貸してくれ!」
その問いに、二人は笑顔で答える。
「「もちろん!」」
三人は頷き合った。既に異変は起こっている。キットはすぐにルーラを唱えた。

「待っててくれ、みんな……! 世界は、俺が守る……!」

手紙を握り締めながら、キースはそうつぶやいた。


〜続く〜
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