Chapter 27-10
「よくもボクに傷を……! 許さない、もう許さないぞ……!」

シャンクから激しい魔の気が流れ出す。いよいよ彼の最後の切り札が出されようとしていた。
「今なら攻められますが……?」
直前に、キットがキースに耳打ちしたが、キースは首を横に振った。
「無駄だろうぜ。今攻撃しても効かねーだろうよ」
シャンクは全ての準備を整えたようだ。三人は彼を見逃すまいと、一心に見つめた。

「死ね……!」

突如、シャンクが消える。そして次の瞬間、キースの足元に現れ、鳩尾を思い切り突き上げられた。
「ぐがっ……っあっ……!!」
「「キース!!」」
三人とも、シャンクの姿が全く見えなかった。それほどまでに、シャンクのスピードは凄まじいものだった。それなりに離れていたが、「死ね」の言葉から一秒と経たないうちに、キースは攻撃を受けていたのだ。
「……うあっ、くっ……!」
あの時かなりの血を失っているキースは、ついに限界を感じ、壁に寄りかかった。横では、素振りは見せないがディルも額に脂汗を滲ませていた。
(……ダメだ、目が霞んできやがった)

キットは二人の異変に気づいた。やはり、回復呪文は血液量までは補えない。そして、そんなことを考えているうちに、シャンクは次の行動を起こしていた。
「もう絶対に生きて帰さない……集まれ、魔界の悪魔たちよ!」
シャンクの一声で、辺りに禍々しい空気が漂う。そして、邪悪な気配のする、見たことのない敵ばかりが部屋を埋め尽くした。
「……やれ!」
シャンクの命令で三人に襲いかかる悪魔たち。抵抗しようにも、あまりに人数が違いすぎる。多勢に無勢だった。
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