Chapter 27-8
「ヒャヒャヒャ! 面白いことになってきたね、せっかくだからボクはここで見てるよ!」
シャンクは余裕綽々の表情で、高い棚に座って戦いを眺めていた。

たたみかけるようなディルの猛攻に、キースは防御するのがやっとだった。
「やっぱ…こいつ俺より剣の腕は強え……! くっ!」
キィン!
キースの剣が弾き飛ばされる。キースは届かない場所まで飛ばされた剣を取りに行くのを諦め、肉弾戦を試みようとした。しかし。

(ダ、ダメだ、殴れねえっ……!)

共に旅をしてきた仲間に拳を振り上げることを躊躇ってしまうキース。しかし、その一瞬の気の迷いが致命傷につながる。気づいた時には、頭上から剣が振り下ろされてきていた。

ガキィン!

その時、今度はディルの剣が弾き飛ばされた。
「キース、大丈夫ですか!?」
「キ、キット!」
「すみませんが、もう庇う余裕はありませんよ!」
「ああ、悪かったな! サンキュー!」
これでお互い素手の戦いかと思いきや、ディルはキースが礼を言っている間に剣を拾っていた。そして、またしても絶妙な剣さばきを見せる。
だが、キースも落ち着いたのか、的確に剣の軌道を読んでひらりひらりとかわしていった。そして、部屋の隅に追い詰められた時、キースは思いを込めて込めて右手の人差し指をディルに向けた。

「ディル、元に戻れ!」

途端に、キースの指先から謎の波動が迸った。そして、数秒後、ディルがゆっくり口を開いた。
「あれ……俺、何してた?」
キースは胸を撫で下ろし、我に返ったディルに告げた。
「後だ、後! 今はあいつを……!」
キースは言うや否や、棚に座っているシャンクめがけて走っていく。
「やっぱり……凍てつく波動を使えるとは。ボクの予想通りだ、ほうっておいたらコイツはやばい奴になる……勇者、キース……!!」
初めて、シャンクが恐怖の表情を浮かべる。が、直後一転する。

「コイツをボクが殺せるんだ……ははははは、ワクワクするなぁ……!」
「何寝言言ってやがんだ……よ!」

キースは渾身の力で剣を振り下ろす。棚が真っ二つに割れ、ズシンと音を立てて倒れた。
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